第十六章 第三次神政内閣

   佐田彦王(さだひこおう)大神  佐田子姫(さだこひめ)大神

 第二次神政内閣の「地上丸(ちじょうまる)大神」「地上姫(ちじょうひめ)大神」没落し給いて、「(タイ)()(シャウ)(グン)」「常世姫(トコヨヒメ)大神」の在します肝川の里に走り行き給いしが、此の事によりて「(タイ)()(シャウ)(グン)」は神霊界の事態容易ならざるを察知し給い、如何にもして神霊界の治世を回復し給わんとして、「(タイ)()(シャウ)(グン)」は「佐田彦王(さだひこおう)大神」に常世姫(トコヨヒメ)大神は佐田子姫(さだこひめ)大神に変じて出御(しゅつぎょ)し給い、第三次神政内閣を組織し給えり。「佐田彦王(さだひこおう)大神」は第二次神政内閣を没落せしめたる主媒神たる「天若彦(あまわかひこ)大神」に徹底的なる弾圧を下して、之を放逐し給い、神霊界の混乱を静めんと努力し給えり。玆に於て、神霊界の従神「八百八光神」の不平憤慲(ふんまん)も、主神たる「(タイ)()(シャウ)(グン)」の再現し給ひたる事実によりて、大凡(おおよそ)鎮静に帰し、神界政治の基礎(ようや)く恢復に赴かんとせり。

 ()て一方、さきに「地上丸(ちじょうまる)大神」と共に肝川に隠れし「()(ジョウ)(ダイ)(ジン)大神」は、更に肝川より『ろ』の国に逃れ行きしが、『ろ』の国に於て外国諸神に囲統せられつゝ在る間に於て、漸次日の本魂を喪失し、全く『ろ』の国の魂に()せられ放埒(ほうらつ)なる神に()し、名前を「取込大神」と変じ、再び日の本への帰還を思い立てり。

 此の当時、『ろ』の国には「大鶴姫(おおづるひめ)大神」居り給いしが、此の神はさきに「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」と共に『ろ』の国に赴き、天神(アマツカミ)の命を受けて秘かに「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」の監督の任に当て(かたわ)ら、共に『ろ』の国の固成修理に大活躍をなし給えるものなり。然るに、此の活躍の間に於て、「大鶴姫(おおづるひめ)大神」は「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」の有する姦悪なる性質に依りて、漸次感化影響を蒙る所となれり。

 此の二神は、日の本に於て「国万造主(クニヨロズツクリヌシ)大神」の御手に依りて人體が完成せられたるを見て、それに(なら)いて、『ろ』の国に於ても人體を創造せんとし、様々に工夫せられしが、如何にしても其の目的を達するに能わず、出来上りしものは人體とは似付かぬ四足動物にして、其の最初に生じたるは()()にして、また鳥類としては孔雀(くじゃく)なりしと伝えられる。ともあれ『ろ』の国の修理固成は完了を告げたるを以て、「大鶴姫(おおづるひめ)大神」の日の本への帰還の思念漸く急となれり。玆に於て、「大鶴姫(おおづるひめ)大神」は、さきに「取込大神」がこれまた日の本への帰還を思い立てるを見て、之を同道し、更に又一方、『ろ』の国に在りて秘かに日の本神霊界を奪取してその司配権を掌握せんと画策しつゝある「山武姫大神」の股肱の臣にして、而も秘かに大神より命令を含められていたりし、「盤古大神」(支那にて発生したる神)、「幡十台神」(露西亜にて発生)、「十億道(じゅうおくどう)神」(露西亜にて発生)等、『ろ』の国の国魂神たる諸神霊を伴い、之等全部の諸神霊は、「大鶴姫(おおづるひめ)大神」を主班として一団体を成し、万国(トコヨクニ)棟鿄国(オムヤクニ)たる日の本を目指して、一時(いちどき)に帰還竄入(ざんにゅう)し来れり。

 斯くて、之等諸神霊日の本へ渡来の後、先づ「大鶴姫(おおづるひめ)大神」は、内閣の主班たる「佐田彦王(さだひこおう)大神」に取入り、日夜管(げん)舞楽を(もよお)して其の歓心を()い、以て其の政務を(おろそか)にせしめんと図れり。また「取込大神」は、日の本の神意(〇〇)()閉塞(〇〇)せんとして百方策を廻らし、また「盤古大神」、「幡十台神」、「十億道(じゅうおくどう)神」等、「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」股肱(ここう)の巨神は、「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」の素志(そし)たる日の本奪取の陰媒を貫徹(かんてつ)せんが為に、愈々其の蠢動を開始し、殊に其のうち「盤古大神」は、万国(トコヨクニ)の統率者たる日の本御皇室の皇霊統に侵入して、神・現両界共に其の手中に収めんとして、漸次其の爪牙(そうが)を延ばすに到れり。

 斯くて、是等の帰来せる日の本神霊及び外国諸神霊の策動漸く顕著となり来たりしを以て、之に気付きたる日の本在来の「八百八光神」は、大いに怒りて此の形勢を防遏(ぼうあつ)せんが為に奮起し、之等外国諸神霊に挑戦したるを以て、玆にまた、神霊界の大動乱を招致するに到れり。而も此の動乱は、時経るに従いて益々激化し、終熄(しゅうそく)の予想全く立たざる事態となれるを以て、「佐田彦王(さだひこおう)大神」は、遂に憤然として其の位を放擲し、三姫神「気津久姫(きづくひめ)大神」「(はな)(より)(ひめ)大神」「早里姫(はやさとひめ)大神」を伴いて、宙界(〇〇)に逃れ去り給えり。(此の事によりて「佐田彦王(さだひこおう)大神」は、後に「猿田彦神」と堕せり。)而して、妻神、「佐田子姫(さだこひめ)大神」は、後に残りて大いに外国諸神霊に対して防戦に努め、事態の恢復を図り給いしが、遂に如何とも収拾する能わざるに到り、夫神とは別に肝川の里に逃れて、再び隠退し給ふの止むを得ざる事となり、玆に、第三次神政内閣の没落を見るに到れり。

()て、以上述べし如く、第一次、第二次、第三次と神政内閣相次いで没落したる為、其の間事に(あずか)りし日の本諸神霊の間に漸次怨恨・思念鬱積(うっせき)し、そが凝固して一箇の悪霊となれり。之を「八尾狐(ヤツヲキツ)」と云う。「八尾狐(ヤツヲキツ)」は體なくして形と意志のみなる霊神にして、所謂思凝神(〇〇〇)(シコリガミ)と称するものなり。

此の後、「盤古大神」は、苦心の結果、皇霊統に侵入する事に成功し、また「取込大神」は、日の本根本(タマシヒ)(タマヤ)なる「天神(アマツカミ)人祖(クニツカミ)(ハジメ)(タマシヒ)(タマヤ)」の周囲に鳥居(〇〇)()()(トリ)とまり鳥居)を建て、神意を閉塞(へいそく)することに成功せり。

 

 

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