第四十三章　皇統第二十三代［上代第二十三代］

　　　天(アメ)之(ノ)忍(オシ)穂(ホ)耳(ミミ)身(ミ)光(ヒカル)天(アマ)津(ツ)日(ヒ)嗣(ツギ)天(アメ)日(ノヒ)天皇(スミラミコト)

　　　天(アメノ)玉(タマ)依(ヨリ)毘(ヒ)売(メ)皇(キサ)后(キノ)宮(ミヤ)

　皇太子「天(あめ)之(の)瓊(に)々(に)杵(ぎ)尊」御誕生あり。天皇、皇子・皇女三十一尊を臣下に天降(〇〇)らしめ、越根国の百姓となし給う。

　即ち左の如し。

　名田三国姫尊　　　若狭三国山宮の土人となる。

　高須国見彦尊　　　越前高須山宮に坐ます。

　忍宮内姫尊　　　　加賀の宮内宮に坐ます。

　大日忍古日尊　　　加賀国大日宮に坐ます。

　江沼山中姫尊　　　加賀国山中宮に坐ます。

　江沼山代姫尊　　　加賀国山代宮に坐ます。

　七王福田彦尊　　　能登国七王宮に坐ます。

　高州彦尊　　　　　能登国高須山宮に坐ます。

　石動彦尊　　　　　越中国石動(イスリキ)山宮に坐ます。

　八代氷見姫尊　　　八代氷見宮に坐ます。

　小松湊姫尊　　　　湊水門宮に坐ます。

　栗羽方守尊　　　　呉羽宮に坐ます。

　岩瀬彦王尊　　　　岩瀬宮に坐ます。

　魚漁津彦尊　　　　天神宮大神宮に神主(カンツカサ)。

　舟見姫尊　　　　　泊宮に坐ます。

　天糸姫尊　　　　　越後姫川岡宮に坐ます。

　天来濃彦尊　　　　越後米山宮に坐ます。

　新井姫尊　　　　　ニイエカタハク山宮に坐ます。

　葛塚姫尊　　　　　葛塚宮に坐ます。

　天王新彦尊　　　　天王新田宮に坐ます。

　天忍神彦尊　　　　越中日見日高見神明赤池上皇(スミ)祖(オヤ)皇(スミラ)太オホ)神(タマシイ)宮(タマヤ)神主(カンツカサ)

　天根杵彦尊　　　　同　神主(カンツカサ)

　天忍大姫尊　　　　同高田宮に坐まし高田を開く。

　天光地姫尊　　　　同光池上羽田を開く。

　天藤居新姫尊　　　同居所藤宮と云う。

　また天皇、神籬(ヒモロギ)立瓶八個を造り給い、之に上代天王の御名を神代文字を以て、彫刻し、爾後即位式の際は必ず高御座(たかみくら)の周囲に立て用うる事と定む。此の事は、後代に語り伝えられて、神籬盤境(ヒモロギイワサカ)（高御座(たかみくら)を意味す）の神勅となりたるものなり。此の神籬(ヒモロギ)立瓶は、「皇(スミ)祖(オヤ)皇(スミラ)太オホ)神(タマシイ)宮(タマヤ)」の神宝(カンダカラ)となり、後代各天皇も度々御製作あり。現在十七箇を存す。天皇御即位百三十万年六月六日、御位を皇太子天(あめ)之(の)瓊(に)々(に)杵(ぎの)尊(みこと)に譲り給い、御即位〇年十二月一日、肥前国コクヅ山の大宮より神幽(カミサ)り給う。

　「忍(オシ)穂(ホ)耳(ミミ)天皇(スミラミコト)」、御譲位にあたり御自ら記され、「瓊(に)々(に)杵(ぎの)尊(みこと)」に授け給いて、万国(トコヨクニ)棟鿄(オムヤ)天皇(スミラミコト)一人天皇の守り札とせられし、神代象形仮名文字の文左の如し、是れ、日の本各神社より出す神符の起源なり。（第百十七章参照）

　　　十(ト)種(クサ)乃(ノ)神(カミ)玉(タカラ)三(サン)種(シ)乃(ノ)神(ジン)器(キ)

　　万国棟鿄代々乃(トコヨヲムヤミヨミヨノ)天皇乃霊神(スミラミコトノタマシヒカミ)

　万国棟鿄皇祖(トコヨヲムヤスミオヤ)皇太神宮(スミラヲタマシヒタマ)五色人乃(ヤイロヒトノ)祖神(ヲヤカミ)

　　天(アマ)津(ツ)神(カミ)霊(タマシヒ)国(クニ)津(ツ)万(ヨロヅ)神(カミ)霊(タマシヒ)守(ム)留(ル)

　　　　天(アメノ)忍(ヲシ)穂(ホ)耳(ミ)天(スミラ)皇(ミコト)文(フミ)志(シ)

　　　　五(イ)色(ロ)人(ヒト)乃(ノ)祖(オヤ)神(カミ)万(ヨロズ)守(マム)留(ル)

　　　　皇(スミ)祖(オヤ)皇(スミラ)太(ヲ)神(タマシヒ)宮(タマヤ)

　　　　万(トコ)国(ヨノ)棟(ヲム)鿄(ヤ)忍(ヲシ)穂(ホ)耳(ミ)尊(ミコト)文(フミ)志(シ)

　是を、後代「崇神(すじん)天皇」の御代、四道将軍を派遣せられて、各国の賊徒平定を命じ給いし時、之を兆勝(チョウカツ)（多勝）の守りとして、各将軍に御下賜あり。右は、吉備津彦命直筆による六踏三略巻(〇〇〇〇〇)に記さるゝ所にして、其の文字の侭白雉二年（昭和七年より千二百八十二年前）に彫刻せられて、木版（上代より第八回目の木彫版）となりて現存せり。恐らくは、文字の木版として最古のものならん。

　また、「天(アメノ)忍(ヲシ)穂(ホ)耳(ミミ)天(スミラ)皇(ミコト)」御親作「天(アマ)疎(サカル)日(ヒニ)向(ムカ)津(ツ)比(ヒ)売(メ)天(スミラ)皇(ミコト)岩戸より出でませし時の祝歌」、左の如し。　

　また「天(アメノ)忍(ヲシ)穂(ホ)耳(ミミ)天(スミラ)皇(ミコト)」御親作の御歌、左の如し。

「右御製(ぎょせい)二歌、天皇即位〇年三月十七日、詔して「棟鿄(ヲムヤ)皇(スミ)祖(オヤ)皇(スミラ)太オホ)神(タマシヒ)宮(タマヤ)」へ奉納せしむ、

大日忍日古命　　　万国(トコヨクニ)言文字智主命

石動彦命　　　　　栗羽方守命　　　　

天忍神彦命　　　　天根杵彦命　　　　

活津彦命　　　　　天津彦根命　　　　

　詔して文し奉捧(ほうぼう)」　

　　ヒガシアケ　ケウハウレシヤ　ヒヲオガム　サイサンサヱイ　ヨイサエウイ

　　チハヤフル　アメイセイヤマ　タカマノハラ　ナレワアツマリ　タムヨモカミ

　　チハヤフル　カミアカリタマヤニ　アツマリタマヒ　イロヒオヤ　ヨモノカミ

　　チハヤフル　スミオヤノタマヤ　タカマハラ　アツマリタマヒ　ヨモノカミカミ

　　アイワヤド　アケナヒミカミ　イテタチツ　サイサンサヱイ　チヨハチヨロツ

　　アイワヤド　アケテスミラミコ　トコヨヌシ　ヒトリヨロヅヨ　サイサンサヱイ

　　東明(ヒガシア)け　今日(ケウ)は嬉(ウレ)しや　陽(ヒ)を拝(オガ)む　サイサンサヱイ　ヨイサエウイ

　　千早振(チハヤフ)る　天(アメ)伊(イ)勢(セ)一(イ)山(ヤマ)　高天(タカマ)の原(ハラ)　汝(ナレ)は集(アツマ)り　守(タム)四方(ヨモ)神(カミ)

　　千早振(チハヤフ)る　神(カミ)明(アカリ)宮(タマヤ)に　集(アツマ)り給(タマ)ひ　五(イ)色(ロ)人(ヒ)祖(オヤ)　四方(ヨモ)の神(カミ)

　　千早振(チハヤフ)る　皇祖(スミオヤ)の宮(タマヤ)　高天(タカマ)の原(ハラ)　集(アツマ)り給(タマ)ひ　四方(ヨモ)の神(カミ)々

　　天(ア)岩(イワ)屋(ヤ)戸(ド)　明(ア)けな日(ヒ)御(ミ)神(カミ)　出(イ)で立(タ)ちつ　サイサンサヱイ　千(チ)代(ヨ)八(ハ)千(チ)万(ヨロツ)

　　天(ア)岩(イワ)屋(ヤ)戸(ド)　明(ア)けて皇(スミラ)御子(ミコ)　万国(トコヨクニ)主(ヌシ)　一人(ヒトリ)万代(ヨロヅヨ)　サイサンサヱイ

　　カミタカラ　カミヤマトタマ　トコヨクニ　スミラミコトゾ　ヨイサイヱサン

　　カミタカラ　カミヤマトタマ　アジチクニ　ヌシスミラミコト　ヨイサイヱサン

　　カミタカラ　カミヤマトタマ　ヨロツカミ　ムルカミヌシオ　オホトウリヤウ　

　　カミタカラ　カミツカサヌシ　ヨロツマツル　ヌシオホヌシ　ヨイサイヱサン　

　　アマツクニ　スミラミコトノ　カミタカラ　ムルツカサビト　コソワガタカラ　

　　トコヨクニ　スミラミコトハ　ヒトリゾト　マタアルトキハ　マタワツウレル

　　神宝(カミタカラ)　　神(カミ)日(ヤマ)本(ト)魂(タマ)　　万国(トコヨクニ)　　天皇(スミラミコト)で　　ヨイサイヱサン

　　神宝(カミタカラ)　　神(カミ)日(ヤマ)本(ト)魂(タマ)　　支国(アジチクニ)王(ヌシ)　　天皇(スミラミコト)ぞ　　ヨイサイヱサン

　　神宝(カミタカラ)　　神(カミ)日(ヤマ)本(ト)魂(タマ)　　万神(ヨロツカミ)　　　守(ム)る神主(カミヌシ)オ　　大統(オホトウ)鿄(リヤウ)

　　神宝(カミタカラ)　　神主(カミツカサヌシ)　　万祭(ヨロツマツル)主(ヌシ)　　大主(オホヌシ)　　ヨイサイヱサン

　　天津国(アマツクニ)　　天皇(スミラミコト)の　　神宝(カミタカラ)　　守(ム)る司人(ツカサビト)こそ　我(ワ)が宝(タカラ)　

　　万国(トコヨクニ)　　天皇(スミラミコト)は　　一人(ヒトリ)ぞと　　また有(ア)る時(トキ)は　または潰(ツウ)れる。