天之仁仁杵身光天津日嗣天日天皇 ［御身魂 天照彦大神］
木花佐久夜姫皇后宮 ［御身魂 地上姫大神］
天皇御身魂「天照彦大神」にましまし、「木花佐久夜姫皇后宮」、御身魂「地上姫大神」にまします。即ち、天皇の御代に到りて、「天照彦大神」初めて、皇霊統に出現し給いしものにして、而も、第二次神政内閣に於ける「地上姫大神」対「天若彦大神」の御争い、この天皇の御代に到りて初めて現界に顕現することゝなれり。
天皇、はじめ皇子あらせられず、「饒速日尊」を皇太子と定め給う。御即位三十年二月十日、越中国御皇城山より日向国高千穂峯に遷都あり。此の時、天皇、皇后、皇太子、皇族、臣僚八十八尊と共に天降り給いて、大宮を建て、其処にて万機を親裁し給えり。此の御遷都の御事が、後代日本の古記に誤り伝えられて、天孫高千穂峰に御降臨とせられしものなり、御即位〇年五月五日、高城山の大宮に於て、「火須勢理尊」「火明尊」御誕生あり。二皇子の住み給いし所を、男鹿山という。即位〇年六月十六日、天皇伊勢津姫国二見水門より朝熊山に御臨幸あり、此の御臨幸は、日本の古書に「猿田彦命」「宇受売命」の二神伊勢二見に赴きたる事として伝えられしものにして、此の二命は、此の時天皇の供奉として赴きたるものなり。御即位百三十一万年十一月十五日、日向国可愛の山の大宮より神幽り給う。御齢百七十九万二千四百七十歳なり。また、天皇即位〇年六月十七日、「木花佐久夜姫皇后」富士山より神幽り給う。
第二次神政内閣に於て、「地上丸大神」「地上姫大神」立ちて主班となり給いしが、此の二神は神定の御夫婦にてあり給いき。然るに、玆に皇統第二十四代の皇后宮「木花佐久夜姫」は、其の御身魂「地上姫大神」として現れ給い、「天照彦大神」の身魂を有し給う、「仁仁杵天皇」の懇望によりて、妃として立ち給えり。然るに、第二次神政内閣に於ては、「天照彦大神」と同霊神たる「天若彦大神」の為に「地上姫大神」は引落されて、第二次神政内閣没落の原因を作り給えり。駛身界に於ける此の事態は皇統第二十四代天皇の現界に反映し、「木花佐久夜姫皇后」は「火須勢理尊」「火明尊」の二尊子御誕生の砌り、御傷ましき御災厄を経験し給いし次第となれり。
即ち、皇后初め御子あらせられず、皇弟「饒速日尊」皇太子たり給いしが、皇后皇子を身籠り給える事を奏上し給えるに、天皇御疑いありて、其の皇子たる事を認め給わず、皇后甚だ悲しみ給い、
『吾が姙める子、日の御子たる陛下の皇子なれば、そは、又日の御子なり。火の産屋を造り、火の中に安産して親子けがなかりせば、疑いを宥し給え。』
と奏し、乃ち産屋を造り、茅にて葺き、床には炭を敷きて待ち給う。やがて期来りしを以て、産屋に火放ち、皇后、従容として其の中に入御あり。雙児を産み、右手に「火須勢理尊」、左手に「火明尊」を抱き給いて、再び火焔の中より出御あり。乃ち、天皇之を許し給う。斯の如く、皇后肉體を有し給う御身にありて、最大の災厄と試練に遇い給いしが、鎮火の神事によりて、よく無事なるを得給いしなり。是れ、鎮火祭の始まりにして、此の事によりて、天皇詔して、
『今後、必ず上下共に、鎮火祭を施行せよ。また同時に、探湯祭、釜鳴祭を、皇祖皇太神宮の大祭に施行して、上下万民の安泰を祈祭すべし。』
と、宣わせらる。
斯の如く絶大なる災厄に会い給いし故は、皇后宮が御身魂「地上姫大神」にましますを以て、嘗て駛身神霊界に於て「天若彦大神」に虐げられし事実の反映として、現界に於ては、「天若彦大神」と同系神なる「天照彦大神」の身魂を有せらるゝ「仁仁杵天皇」の妃となられて、此の因縁を繰返すに到りしものなり。而も猶、此の皮肉なる因縁の戯は之に止まらず、神霊界に於いて最愛の夫神たる「地上丸大神」は、却って皇后の御子たる「彦火々出見尊」の御身魂として御出現ありたり。
神霊界に於て神定の夫婦と定められし身魂が、其の侭人類界の夫婦として現わるゝに於ては、世に夫婦間の葛藤はあらざれども、神霊界に於て、互に争闘せる身魂が、現界に於ける夫婦として結び付けらるる時に於ては、其の夫婦は絶えず非常なる葛藤と苦痛とを経験せざるべからず。斯の如き悲惨なる現象は、宇宙が未だ自在時代てう過程を彷徨しつゝあるが為に発現するものにして、将来、身魂の還元整理完成せる暁に於ては、現界に於ける夫婦は必ず神霊界に於ける特定の夫婦の身魂を有することゝとなりて、軈ては、人類界に於ける夫婦の悲劇は其の跡を絶つに到るべきなり。換言すれば、人間界の夫婦の紛争は、神霊界に於ける身魂の争闘の反映に外ならざるなり。
斯の如くして、「木花佐久夜姫皇后」は御齢若くして蕾の花を神幽り給えり、と伝えられる。
日本神話にて、「火明尊」「火須勢理尊」に関して海幸彦、山幸彦の伝説あるは、次の事実に由来するものなり。即ち、「仁仁杵天皇」即位の〇年二月一日、皇子「火明尊」亀の背に乗りて琉球宮（伝説に竜宮として伝らゝ所）に着し給う。島王「大綿津海命」の姫「豊玉姫命」を娶り、妃とせられて御帰還あり。「豊玉姫命」の御身魂は「竜宮の乙姫」［玉依姫大神］にてあらせられ、後、「鵜草葺不合尊」御出産ありし時に、事ありて、「豊玉姫皇后」は父命の在す琉球島に帰られ給い、代りて御妹姫の「玉依姫命」［御身魂 玉依姫大神］、皇子御哺育の為に姉皇后に代りて大宮に来り、後「鵜草葺不合天皇」の皇后宮となり給えり。
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