第百五十六章　皇統第百九十四代［神倭第九十七代］

　　　後(ご)　醍(だい)　醐(ご)　天　皇

　天皇の御身魂は「地上丸(ちじょうまる)大神」にましまし、其の御出現によりて、一時皇政の復古を見たるも、かくては「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」一派の古来よりの目的を挫折する結果となるを以て、大神猛然として奮起し、皇統攪乱に努めたる為、現界に於て南北両朝の対立を見るに到れり。当時南朝の各天皇が御経験ありし臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の御苦心に就き、現存せる史実は、僅かに其の一班を記すに過ぎざるものなり。（第百六十四章参照）「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」は、自己の霊統を以て身魂となしたる北朝の天使を以て日の本の正統となさんとする目的貫徹に努めたりしが、玆に図らずも、北朝二代「光明天皇」の御身魂として、「国万造主大神」御出現ましましたる為、「山武姫大神」は茫然自失、遂に其の画策の成就し難きを覚るに到れり。

　然るに、此の間、「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」部下の諸神霊は、猶も南朝撲滅の為に執拗なる策動を試み、其の歴史に現れざる顕著なる事項としては、神倭(かむやまと)九十八代「後(ご)村上(むらかみ)天皇」正平三年、即ち北朝「光明天皇」貞和四年、「足利尊氏」［身魂　大野大陣大神］全国に令して、南朝一味の寄寓(きぐう)したりし神社仏閣を悉く焼却し、また、正平十年、北朝「御光厳(ごこうごん)天皇」文和四年、全国に令して、古事記・日本書紀・古語拾遺等に記載しある神宮(たましいたまや)・神社にして南朝に加担せるものを、之等書籍及び歴史より悉く抹殺消除(しょうじょ)し、七年間に極力之が実行に努めたり。（第百六十四章参照）

　然るに一方、之等外国諸神霊の跳鿄に対応して、久遠(くおん)の昔より其の局に立ち給える十六神の大神(〇〇〇〇〇〇)は、常に皇室擁護の為に、絶大なる御活動を惜(おし)み給はざりき。されば、南北朝分離して六十二年の後、「後(ご)亀山(かめやま)天皇」は、北朝六代「後(ご)小松(こまつ)天皇」に対して、父子の礼を以て神器を譲り給いて、南北朝の合一を見、「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」の画策は全く失敗に終りたり。

　其の後、世に三種之神器を中心とする南北朝正閏(せいじゅん)の議論喧轟(けんごう)たれども、北朝に伝えられし神器の真偽如何は問わず、万国棟鿄(トコヨクニオムヤ)天皇御身守にして皇位継承の神宝(カンダカラ)たる三種の神器は、必ずヒヒイロガネを以て製したるものならざるべからず。而も、其の中古「天(アマ)疎(サカル)日(ヒニ)向(ムカ)津(ツ)比(ヒ)売(メ)天皇(スミラミコト)」御製作の神器は、「崇神(すじん)天皇」以来、「皇(スミ)祖(オヤ)皇(スミラ)太(オホ)神(タマシイ)宮(タマヤ)」神主(カンツカサ)「竹内氏」子々孫々守護し奉りて今日に到れり。やがて、右神器上御一人の御手許に奉還せらるる暁は、従来の南北正閏(せいじゅん)の議は、全く無意味となり終るべきなり。