太初、日本島に人類発生を見たる時「天照日大神」の神勅によりて、其の人祖が世界万国棟鿄日の本皇室の皇祖となり、其の他の人類は悉く臣僚に列せられ、玆に、日の本の国體決定して君臣の別定められ、且つ、人類の統率者は、将来、永久に御一人にあらせらるる事に定まりしものなるが、此の事実をだに、広くしては人類全般が、狭くしては日本国民が認識するを得れば、従来様々に行わるゝ如く、神国日の本及び其の皇室の意義に就きて、あげつらう（言挙する）必要を見ざるにも不拘、此の事実の認識充分ならざる観点より論ぜらるゝる所の「日本国體論」は大凡、感情論・確信論・先君後民論等其の主要なるものにして、何れも議論によりて日本国體を決定し、皇室尊崇の念を確立せんとする外ならずして、結局は只、論議の為なる論議に終始するものに過ぎず。而も以上の如き議論によりて決定せんとする日本国体と皇室の由来は、実は、凡ての論議を超越せる厳然明瞭なる事実たるなり。元来事実は、遙にあらゆる論議に優りて権威あるものなり。故に、事実の国たる日の本に於ては、唯この事実をだに把握すれば論議は不用なりとして、古来日の本を「惟神言挙」せぬ国と称し、従而、不必要なることあげそのものたる哲学は、此の国にその発達を見ざりしなり。然るに、此の事実を把握し得ざりし輩は、論議即ち哲学的・論理的探究によりて日本国體並に皇室の発祥を究めんと努むるも、到底元来事実たる国體の由来不可解なるため、遂に之を信仰という心情に附会するか、或は之を至上の幽玄なりとして論議を放擲するの止むを得ざるに到る事を以て、言挙げせざる所以となしつつあれども、要するに只、彼等の認識不足を告白するに過ぎずして、言挙げせずと云う事を斯の如き意味に解釈するは、大いなる誤のみならず、更には国體の尊厳を冒瀆するの罪を敢て冒すものなるを悟らざるべからず。即ち只、前述の宇宙剖判より人類界統一・日本皇室発祥に亘る事実をだに認識し得たらんには、前述の如きあらゆる論議は自ら消滅し、真の神国たる日本国体の淵源、皇室至厳の本義を了解し得るものにして、「天地根本大祖神」の御手動き、天運循環して、爰に昭和の聖代に至り、神示と現示とによりて此の事実を確然と認識し得し至幸と共に、人類として最初に神現両界の真相を理解し得るに至りし至楽を、また深く感謝せざるべからず。
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