第九章 天の岩戸閉め[神人の乖離混乱進展時代]

 「天地根本大祖神(てんちこんぽんだいそしん)」の御意志の発露として、宇宙自體の剖判(ほうはん)より創造の神業進み、人類の創造に到りて、宇宙創始の創造時代は、略々(ほぼ)終了し、玆に神の世界及び人類界に於ける神政政治()かれて、統一時代出現せり。然るに、此の当初の統一時代に於ては、神も人も全く幼稚にして何れもまた深き経験を有せず、為に此侭の統一状態を恒久に持続したらんには、将来全く其の統一内容の進歩発展得て望むべからず。即ち此侭に放置したらんには、宇宙創造の神業は全く退歩委縮するを免れざるを以て、何等かの方法によりて之を打開し、その進歩向上の一路を辿らしめざるべからず。玆に於て「天地根本大祖神(てんちこんぽんだいそしん)」の御意志発露ありて、宇宙全般は其の統一時代を経過し終りて、愈々次の時代たる自在の時代に入る事となれり。即ち、この自在の時代に於ては、各神霊それ自らの意志の侭にその欲する所を行い、為に神の世界の政治これより動揺を来し、其の間の様々なる調和たらんとする争闘・争闘を余儀なくせらるゝ調和の葛藤演出せられ、一見神政の大紊乱(ビンラン)時代出現せり。之を称して天の岩戸閉め(〇〇〇〇〇〇)と云う。

 此の全く争闘紊乱を以て終始せし自在時代(〇〇〇〇)は、各神が各々其の個性に応ずる能力を発揮して、(やが)て来るべき神政成就の事前に於て、各種の試練に直面すべき時代なり。即ち此の神政成就の暁に於ては、真の統一ある自在が許され、天律を以て律せらるゝ限定の形式生じ、創造・統一・自在・限定の四箇が各各一聯(いちれん)の環の如く密接微妙なる運転をなす時代なるを以て、(やが)て将来に於て此の時代を招来せむ為には各神霊各人類の創造・統一・自由(在)・限定の間に於ける真の天津神則を自得理解するを必要条件とす。此の条件を充足(じゅうそく)せんが為に、各神霊、各人類が試練に直面して、真の調和ある時代に向って進むべき準備として、此の宇宙に展開されしを、自在の時代(〇〇〇〇〇)とす。

 此の自在時代に於て初めて発生を見たるものは、争闘(〇〇)なり。此の争闘は何れより起因して来たるやと云うに、(そもそ)も、宇宙の万神万生の霊的恋慕性、之を愛と云う(万有のそれを引力と云う。)愛は万霊万物の調和の原動力なり。併し、此の調和を破らんとするものは、其の範囲を脱し不自然に堕したる愛それ自體なり。即ち、愛慾(恋愛慾)に依りて、(ここ)に争闘を惹起す。而して一方、之等の愛慾に依りて発生する争闘を調和ならしめんとする圧力を称して、司配権と云う。而も調和せしめんとして(かえっ)て調和を破壊するものもまた、其の常規を逸したる司配権即ち司配慾に他ならざるなり。

 宇宙創造神は、此の自在時代の内容として、神霊界及び人類界にこの愛慾及び司配慾の二個を顕現せしめたり。而も此の両個の欲望に由って惹起(ひきおこ)せらるゝ争闘は、それ自らのみにて終始するものに非ずして、必ず其の争闘の反逆性[自家撞着(どうちゃく)性]を伴うものなり。即ち、己に出でし争闘は必ず己に帰へる事実にして、宇宙間に存在する凡ての神霊及び人類をして、其の自ら惹帰せる争闘の反逆(はんぎゃく)性に眼覚めしめ、真の調和の域、即ち神政成就の彼岸に到達せしめんとする創造神「天一天柱主(アメハジメアメハシラヌシ)大神」の神策によって、玆に神代の神政政治の紊乱開始せられたるなり。即ち、此の神業の顕現を、天の岩戸閉め(〇〇〇〇〇〇)と称す。此の間人類は漸次神霊と乖離(かいり)し、神人交通は天津日嗣(アマツヒツギ)天皇(スミラミコト)及び特殊の人の他は、杜絶(とぜつ)し、それも(やが)て終焉するに到れり。

 玆に於て「天之御三體の大神」は駛身(カケリミ)界司宰神「国万造主(クニヨロズツクリヌシ)大神」と協議せられたる上、「天一天柱主(アメハジメアメハシラヌシ)大神」の神策の意を體して、駛身(カケリミ)界政治の紊乱黙過(もっか)し給う事となれり、斯くして自在時代の政治紊乱漸次にして起り、やがて神霊界の紊乱は人類界の神政政治に反映して、神・現両界の自在時代に於ける政治の混乱は相共々に顕現し来れり。即ち之が(やが)(ぉた)るべき限定時代の前駆にして内容充実せる神政成就に対する神人両者の事前の試練たるなり。

 

 

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