第十章 神政政治の動揺

 「天地根本大祖神(てんちこんぽんだいそしん)」の御意志によりて、天の岩戸閉めの実施せられし時、その神策の下に、おのずから司配慾と恋愛慾に駆られし「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」[(ツキ)の大神―比津遅比売(ヒツヂヒメ)大神―(アマ)照彦(テルヒコ)大神]は、「稚比売(ワカヒメ)(ギミ)大神」の(うず)の御子神にして、駛身(カケリミ)界第一の美女神「金竜姫(キンリュウヒメ)大神」を手に入れ、更に駛身(カケリミ)神霊界の政権を掌握せんとして、統治神の許可を待たずして「金竜姫(キンリュウヒメ)大神」に思を寄せたり。而も斯の如きは、既に意志の世界の事なるを以て、是れ既に、天津違反成り。

 玆に於て、「稚比売(ワカヒメ)(ギミ)大神」大いに驚き給い、「(タイ)()(シャウ)(グン)」を使神として、其の天津違反を(なじ)らせしめしが、「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」は(かえっ)て、〝思を寄せられて引き落とされし神に罪あり〟となして聴かず。為に「稚比売(ワカヒメ)(ギミ)大神」遂に自神赴きて百方、之を()ぢりしが、之亦「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」に引落とされし為、地系[駛身(カケリミ)界系統]の従神「八百八光神」等大いに怒り大挙して「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」に迫れり。「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」は此の多数の反撃に遇い、遂に罪を謝して、日の若宮[統治神の蔭]に隠れ、「行永春神」と変じて「金竜姫(キンリュウヒメ)神」を伴い、一時『ろ』の国[外国]へ走れり。

 玆に於て、「稚比売(ワカヒメ)(ギミ)大神」は仮凝身(カゴリミ)神より賜りたる珍の御子神を失いしのみならず、駛身(カケリミ)神霊界に大混乱を起したる罪、(いつ)に自身にありとなし、其の責を負うの止むを得ざるに到り、夫神[由良里彦(ユラリヒコ)大神]と共に野に下りしなり。地系の「八百八光神」等は「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」と共に策動せる天系[燿身(カガリミ)界系統]の従神[八百幡神]を責むる事急にして、両神系間に大戦闘起り、天系[仮凝身(カゴリミ)界系統]の巨神「(ドウ)(ジャウ)(ヨシ)(ノリ)大神」以下六神立ちて、大いに其の間の調停に努力せしが、遂に其の効なく、玆に収拾すべからざる大混乱となれり。

 然るに、此の時に当りて、一方『ろ』の国に在りし、「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」も、『ろ』の国の修裡固成に成功したるを以て、『い』の国(日の本)の神霊界までも其の掌中に収めんとする司配慾起り、此の日の本神政の混乱を(かけはし)として、漸く其の爪牙(そうが)を磨くに到りしを以て、仮凝身(カゴリミ)創造神の神策通りの大混乱を惹起こととなり。駛身(カケリミ)界諸神霊は、何れも「天地根本大祖神(てんちこんぽんだいそしん)」の御意志たる最後の調和に対する事前の試練に直面するに到れり、斯くて、以上の事態を宇宙自在時代に於ける葛藤(かっとう)嚆失(こうし)として、漸次限身(カギリミ)人間界にもこの事態反映するに到れり。

 

 

Copyright © 2020 solaract.jp. All Rights Reserved.