「天地根本大祖神」の御意志によりて、天の岩戸閉めの実施せられし時、その神策の下に、おのずから司配慾と恋愛慾に駆られし「天照彦大神」[橦の大神―比津遅比売大神―天照彦大神]は、「稚比売君大神」の珍の御子神にして、駛身界第一の美女神「金竜姫大神」を手に入れ、更に駛身神霊界の政権を掌握せんとして、統治神の許可を待たずして「金竜姫大神」に思を寄せたり。而も斯の如きは、既に意志の世界の事なるを以て、是れ既に、天津違反成り。
玆に於て、「稚比売君大神」大いに驚き給い、「大地将軍」を使神として、其の天津違反を詰らせしめしが、「天照彦大神」は却て、〝思を寄せられて引き落とされし神に罪あり〟となして聴かず。為に「稚比売君大神」遂に自神赴きて百方、之を詰ぢりしが、之亦「天照彦大神」に引落とされし為、地系[駛身界系統]の従神「八百八光神」等大いに怒り大挙して「天照彦大神」に迫れり。「天照彦大神」は此の多数の反撃に遇い、遂に罪を謝して、日の若宮[統治神の蔭]に隠れ、「行永春神」と変じて「金竜姫神」を伴い、一時『ろ』の国[外国]へ走れり。
玆に於て、「稚比売君大神」は仮凝身神より賜りたる珍の御子神を失いしのみならず、駛身神霊界に大混乱を起したる罪、一に自身にありとなし、其の責を負うの止むを得ざるに到り、夫神[由良里彦大神]と共に野に下りしなり。地系の「八百八光神」等は「天照彦大神」と共に策動せる天系[燿身界系統]の従神[八百幡神]を責むる事急にして、両神系間に大戦闘起り、天系[仮凝身界系統]の巨神「道成義則大神」以下六神立ちて、大いに其の間の調停に努力せしが、遂に其の効なく、玆に収拾すべからざる大混乱となれり。
然るに、此の時に当りて、一方『ろ』の国に在りし、「山武姫大神」も、『ろ』の国の修裡固成に成功したるを以て、『い』の国(日の本)の神霊界までも其の掌中に収めんとする司配慾起り、此の日の本神政の混乱を桟として、漸く其の爪牙を磨くに到りしを以て、仮凝身創造神の神策通りの大混乱を惹起こととなり。駛身界諸神霊は、何れも「天地根本大祖神」の御意志たる最後の調和に対する事前の試練に直面するに到れり、斯くて、以上の事態を宇宙自在時代に於ける葛藤の嚆失として、漸次限身人間界にもこの事態反映するに到れり。
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