第十二章 第一次神政内閣

   大地将軍(タイチシャウグン)  常世姫(トコヨヒメ)大神

 此の天の岩戸閉めの神意を知らざる駛身(カケリミ)界の自在神は、斯の如く、神霊界に展開し行く争闘は神霊界自身の裡より生起するものと思えるを以て、またこの争闘を神霊自神の努力によりて調和せしめんとし、其の方策として、駛身(カケリミ)界統制の為に神政内閣を組織することゝなりしが、この神政内閣は、今日に到るまで、前後実に八回の変遷を経過せり。

 ()て、「天照彦(アマテルヒコ)大神」「山武姫(ヤマタケヒメ)大神」の紊乱の後を受けて、最初に成立したる第一次神政内閣の首班(しゅはん)として立たれたるは、「国万造主(クニヨロズツクリヌシ)大神」の嫡子、「(タイ)()(シャウ)(グン)」と「常世姫(トコヨヒメ)大神」にして、二神は、神霊界の政治を「由良里彦(ユラリヒコ)大神」の時代に戻して、之を再び調和せしめんとする意志を以て、様々なる苦心を払い給えり。然れ共、従来より引き続ける神霊界の混乱は余りに深刻にして、二神の御意志と御努力を以てするも、(なお)、策の施す術なく、一方また、当時神霊界恢復の為に「(タイ)()(シャウ)(グン)」と共に活躍せられし、日の本諸大神は、此の事態を見給いて、止むを得ず、この混乱自然に終熄(しゅうそく)する時期を待たんとして、神霊界より隠退をなす有様となれり。

 ()て、最初「稚姫君(ワカヒメギミ)大神」の使者として、「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」の許に赴きたるは「(タイ)()(シャウ)(グン)」なりしが、此の使命成功せざりし為、部下の「八百八光神」は憤激して、「(タイ)()(シャウ)(グン)」の仇を報ぜんと、大挙して「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」の軍に対して攻撃を開始せり。此の時、「八百八光神」の神将の中に「一の木神」((タイ)()(シャウ)(グン)の分霊神)と云う神あり。部下の諸神霊を率い、「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」の「八百幡神」の軍に奮然と斬り込み行きて、遂に討死にせり。

 ()て、此の「一の木神」の霊は、其の後、幾多に分裂して、人間界の身魂として、出現せり。然るに、此の神の身魂を受けて現われし人間は其の根源の身魂神たる「一の木神」の経歴を踏んで、(ことごと)く天命を全うする事を得ず。此の事は人間の身魂がその元の神霊の性来(せいらい)因縁(いんねん)を踏襲する事実の顕著なる一例なり。例示すれば、中世に於ける平景清、近世に於ける、佐倉宋五郎・大石良雄・赤垣源蔵・佐野次郎左衛門、また西郷隆盛・僧月照・乃木希典等の人々は此の「一の木神」の身魂を受けし人々なり。此の真理はあらゆるところに実現せられ居るものにして、吾人(ごじん)の身魂は、神霊界の神霊の個性・行為に支配され、それと大同小異の型を現出することは、全く争う能わざる事実なり。而して、此の人間の身魂の個性は、単に「天津大神」の霊統者と称せらるるも、単一なるものに非ず。同じく「天津神」にしても、その異なる個性・経歴を有する多数の神霊存する事なれば、従而(したがって)、人間にも様々なる身魂の個性出現することとなるなり。此の事を称して、身魂の性来(〇〇〇〇〇)(出所)因縁(〇〇)(経歴)と云う。

 以上は、人類個人の身魂に関する事実なれ共、更に人類界に於けるあらゆる社会的事象、また悉く神霊界に於ける社会的事象の反映たる事もまた同時に真理なり。従来人類に此の真理全く分明ならざりし為、歴史上の民族又は国家社会の治乱興亡を、単に人間界それ自体より生起する事実なる如くに思惟し居たり。然るに、此の神霊界の事象の反映と云う真理に照合して、過去より今日に到るまでの歴史を再び検討する時、今日迄不明不可解なりし幾多の事実が初めて自ら分明となり氷解するを知るべし。個人のみならず同時に社会に関しての此の真理こそ、実に人類の過去・現在・未来の歴史を照らす炬火(かがりび)なり。而して、この炬火を以て歴史を照して作成されしものが、本解説『宇宙剖判より神政成就に到る(〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇)神現両界の推移変遷の概観(〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇)』なり。

 ()て、「八百八光神」と「八百幡神」との争闘は、愈々激烈を加えて対策の施す術なく、「(タイ)()(シャウ)(グン)」も全く困却して、止むを得ず両軍が戦闘に疲労して自ら終熄する時を待たんとし、妻神「常世姫(トコヨヒメ)大神」を伴われ、「()()()(ひめ)大神」「花寄(はなより)(ひめ)大神」「早里姫(はやさとひめ)大神」なる三姫神を率い給いて、攝津国肝川の里(四次元界に於ける其の所を指す)に落ち行き給いて、其の処に隠退し給えり。

 其の時、(なお)、「(アマ)照彦(テルヒコ)大神」の八百幡神の軍は追撃し来りて、戦闘継続されしが、此の時、落ち行き給える「(タイ)()(シャウ)(グン)」の軍の殿陣を承りしは、「大音声丸神」「草鶴姫(くさづるひめ)神」なる夫婦の神にてありき。二神は、大いに奮戦の結果「(アマ)照彦(テルヒコ)神」の軍勢を阻止する事を得て、「(タイ)()(シャウ)(グン)」を安全に落し奉る事を得たりしが、「大音声丸神」は遂に此の乱軍の(うち)に陣没せり。玆に於て、妻神の「草鶴姫(くさづるひめ)神」は憤激して夫神の怨を晴さんとして、御自身を蛇身に変じ、神念力を出して敵の全軍を魔痺せしめたり。「八百幡神」の軍は、其の為に一時(ひる)む所となりしが、(やが)て「草鶴姫(くさづるひめ)神」の神念力に気付きて、其の念力によりて生じたりし悪鬼を(ことごと)く一箇所に集め、之を一団となして、(かえ)って「草鶴姫(くさづるひめ)神」に向いて吹きかけたり。其の為に「草鶴姫(くさづるひめ)神」は、遂に自ら出したる毒気の為に(かえっ)って自ら(たお)るるに到れり。

 思うに、神界たると現界たるとを問わず、正々堂々たる陣を敷きて争闘することは神も之を是認し給うべけれど、邪法を以て相手を破らんとすれば、(かえっ)て自ら(たお)るるに到るものなり。創造神の意志によりて自在時代には自在を許され従って争闘も起る。然れ共、争闘を起したるものはまた、自分の初期の目的に反して、(かえっ)て其の争闘の為に自ら破られざるべからず。「草鶴姫(くさづるひめ)神」の例は此の顕著なる一例にして、之を広く争闘の反逆性(〇〇〇〇〇〇)と云う。

 ()て、此の悪鬼となりて敵陣を悩ませし、「草鶴姫(くさづるひめ)神」の神霊の邪気が分散して、其の後現界に反映して出現せしが、所謂伝染病なり。即ち現界の伝染病は、此の神の司る所なり。即ち神霊の怨恨(えんこん)が、神霊界に於ては、悪鬼(あっき)となり、現界に出でては細菌の(かも)し出す毒素となれるものなり。而してこの「大音声丸神」及び「草鶴姫(くさづるひめ)神」の思念・怨恨は(やが)て、それ自らが「天地根本大祖神(てんちこんぽんだいそしん)」の戯曲に於ける永遠の御計画を自覚するに到る時、初めて自ら消滅す。而も、此の神霊の自覚によりて思念が消滅せざる限りは、現界に於ける伝染病もまた決して消滅せざるなり。斯くて、此の事のみならず、凡て神々の自覚によりて神界に真の楽園の出現せざる限りは、人間界にも決して楽園の出現は得て望むべからず。

 

 

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