霊的肺患

 私は先年、私の妻が突然発熱、咳嗽(がいそう)、血痰等の肺患三期位の症状を起したので、早速私が治療したが、(すこぶ)る効果が薄い。二、三日経ても症状は一進一退である。そこで、これは霊的ではないかと想ったので、憑依霊の有無を査べてみた所、果してそうであった。その憑依霊は、一年ほど前私が扱った青年の結核患者であって、終に死亡したが、その青年は父親と二人暮しで、長い病気のため、金銭を費し(つく)し、赤貧洗うが如き状態であったから、死後の追善供養など殆ど行わなかったのである。従って、霊は霊界に於て孤独不遇であるから、私によって祀って貰いたい希望で、私の妻に憑依したのである――という事が判った。そこで私は、準備もあるから明晩祀ってやる故、それまでこの肉体が苦しむから放れて待っておれと言ったところ、快く承諾し離脱したのである。離脱するや、妻はケロリとなし、何等平常と変りない状態となったので、私もあまりはっきりしているのに驚いたのである。右の霊は、今でも私の家に祀ってある。

 

 

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