ある六歳になる女児、全然歩行が出来ない。片一方の手をつきながら、イザって歩くのである。脚を見れば全然力がなく、軟骨のようでニョロニョロしている。私は龍神の憑依と思ったので、足を主に治療したところ、半年位で全く治癒したので、その龍神を庭へ小さな池を掘り、宮を建てて祀ってやった。それから数日後、右の女児はミエ子といい、その年のカレンダーは辰年で、龍の絵がかいてあったので、それを見てミエ子ちゃんは指さしながら、このこわいものはお祭の時、三枝ちゃんの手から抜け出たという事を、子供ながらに手真似などして親に語ったので、親も先生の仰有った通り脚の悪かったのは、全く龍神の憑依であったといって、感謝と共に語ったのである。
右の外、未だ数え切れないほど種々の実例があるが、顕著なものは、今迄の私の著書に大抵は載せてあるから略す事にする。長い治療期間であったから、忘れた方が多いくらいである。そんな訳でよく人が先生の病気治療は誰方から学んだのであるかと訊かれる毎に、私は、こう答える。私の先生は患者である。患者に聞き、患者から教わる。それで段々病気の原因など識るようになったのだから、私の師は患者であるというのが本当である、といったものである。
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