大乗愛 – The Providence of The Light of The East

　単に愛と言っても、小乗愛と大乗愛の区別在る事を、充分知らねばならない。そうして小乗愛の最も極端なのが、言うまでもなく自己愛で、次が血族愛、友人愛、団体愛、階級愛、国家愛、民族愛という順序になるが、ここ迄の愛は悉(ことごと)く小乗愛で、これは何程熱烈な愛でも、結局に於(おい)て悪である。というのは、それが強ければ強い程争いを生ずるからである。では大乗愛とは何かというと、これこそ人類愛であり、世界愛であり、神の愛である。以上の理によって、何程立派な理窟を唱えても、小乗愛は限られたる愛であるから危険(きけん)である。何よりも戦争の原因もこれあるのであるから、人類から戦争を絶無にするとしたら、この世界愛が全人類に行き亘(わた)り、一般的思想にならなければならないので、それ以外戦争絶滅の方法はあり得ないのである。

　右の理によって、争いという争いは悉(ことごと)くその根本は小乗愛からである事を知るべきである。処(ところ)が不可解な事には、愛を唱える宗教にも必ずと言いたい程宗団内の争いがある。尤(もっと)も今日はそれ程大きな宗教的争いはないが、古くは欧羅(ヨーロ)巴(ッパ)に於(お)ける十字軍や、その他にも宗教戦争があった事や、日本に於(おい)ても昔は僧兵(そうへい)等と言って、僧侶(そうりょ)が武器(ぶき)をとって戦った事も史実に明らかである。としたら、争いのある宗教は最早(もはや)宗教人としての資格を喪失(そうしつ)した訳である。この意味に於(おい)て、若(も)しその宗教が本当のものであるとすれば世界愛を説かねばならないと共に、それが実行に移されていなくてはならない筈(はず)で、それが大乗宗教の有り方である。我がメシヤ教はこの大乗愛を建前として人類を救うのであるから、世界の名を冠(かん)してあるのである。