運命と自由主義 – The Providence of The Light of The East

　宿命と運命に就(つ)いてよく質(たず)ねられるから説明をする。

　先ず宿命とはその人に与えられた決定的のものであるから、聊(いささ)かも変える事は出来ない。然るに運命は限定された或(ある)枠内(わくない)の中は自由自在で、その人の努力次第で、枠内の最上位に迄(まで)は到達なし得ると共に、その反対であれば下位に転落するのである。

　今日人々の関心事となった自由主義なるものも右の運命とよく似ている。何となれば真の自由主義とは、或一定の枠内に制約(せいやく)されているものであって、無限の自由は決してあり得ない。真の自由とは限度のある、即ち有限の自由である。故(ゆえ)にその枠を越えた場合、それは他人の自由を侵害(しんがい)する事となり、文化の反逆者(はんぎゃくしゃ)となる事は、運命の枠を越ゆる場合、失敗者となるのと同様の理である。