十一月八日(名古屋市金山体育会館において)

 今日は少し変った話をしようと思います。御承知のようにわが救世教も順調に育ちつつあります。それについて各方面からいろいろ注目をされるようになりつつあります。なにしろ今までの宗教と違って、非常に変ってますから……と言ってもこっちが変っているのではないので、先様が変っているので、こっちは当り前なのです。ところが世の中が変り過ぎてますから、まともな者が変ったように見えるのです。だから非常にやり難いのです。

 ついこの間も文部省の宗務課長補佐の人と、朝日、毎日をはじめいろいろな新聞連合機関の人が六、七人来ていろいろ質問をしたのです。私も話はしましたが、救世教というのはやっぱり宗教ではないのですかと言うのです。だから私は宗教ではないのだ、宗教以上のものだと言うと、それではどういう訳で宗教という名にしたのですかと言うのです。文部省の役人も居ましたが、宗教より外にこういうものを入れる項目がないから、取扱上宗教の中に入れなければしようがないから宗教という名にしたと言ったのです。だからしようがないです。外に何か名をつけるよりしようがありません、と言ってました。そういうような工合で、これからだんだん表面的活動になって来るのです。しかしこっちで態々(わざわざ)そうするのではなくて、世の中からそういうふうにし向けられるというようなわけで、自然です。それでこの自然が私の方針なのです。つまり自分で〝オレはこうだ、オレはこういう事をする〟と言って最初から大手を切ってやるというのでなくて、コツコツとやっているうちに世の中からいろいろな事を言って来、希望して来る、というように発展して行くというのが自然です。何時も言うとおり、物が育つようなやり方でゆかなければいけないというのはそういう訳です。

 最近アメリカのシカゴ・トリビューンというアメリカでの四大新聞の一つです。ニューヨーク・ヘラルド、ニューヨーク・タイムス、ワシントン・ポスト等と共に大新聞です。発行部数は百万以上だそうです。日刊新聞が六十頁というのですから大きなものです。まるで日本の雑誌みたいな読みでがあります。あっちの新聞ですから広告が大部分なのでしょう。社員が四千人だそうです。本社の建物が二十四階というのですから、ちょっと度肝(どぎも)を抜かれる大きさです。その新聞の東洋総支配人の奥さんが来たのです。女の新聞記者というわけですが、なかなか頭の鋭い人です。箱根、熱海の地上天国を見せました。それからいろいろな質問を聞きましたが、日本人と話をするよりか分りよいのです。日本人の新聞記者などは余程こっちが加減してもなかなか分らないのです。それは見方が公平で、急所を見るのです。ですから私も気持良く話ができました。約二時間ばかり話をしました。その中で私は一番面白いと思ったのは、私の今までの経歴を話したところ、〝あなたは珍しい、釈迦やキリストはずっと若い時だから宗教の事をやっていた。ところがあなたは五十過ぎてから宗教に入ったのだから世界に例がない〟と言ってましたが、私もなるほどそう言われてみるとそうだとちょっと見方が違う処に面白みがあると思ったのです。それからいろんな話がありましたが、その中で気のついた事だけを話します。〝天皇制はどうか、天皇制に対してはどういう考えか〟という事を質問されたのです。それで私は〝天皇制はない方がよい〟と言ったのです。アメリカが天皇制をやめるような仕方だから結構だ、どうしてかというと、天皇制がなければ、まず日本が戦争を起こすという事がないでしょう。この間の戦争にしても、天皇制を利用して一派の者が野心を抱いて始めた事なのだから、つまりそういった機関がなければ、そういった看板がなければ、そういう事ができないのです。ですから非常に結構だ。というのは、日本という国は本当の平和の国です。平和の国という事は、要するに世界の公園です。というような、非常に世界的に美しい、世界中の人を慰める、楽しませるという、そういう国柄なのだ、日本の使命はそうなっているのだ、だから戦争などは絶対反対なのだから、徹頭徹尾戦争が起こらないような国家にする。そうして平和的の美、美しい国という、そういう考えで地上天国や美術館を造ったのだ。それからこれからも日本では箱根、熱海、京都に最初造るとして、それからハワイにも発展したので、いずれ地上天国を造るようになるだろう。それからその次はアメリカにも造るし、ヨーロッパにも勿論造る。東洋にも造る。それは何故かというと、公園は世界各地至る所にありますが、その公園よりももっと上等なもの――公園というものは一般的のもので、大衆が憩い、或いは大衆の娯楽という意味ですが、もっとレベルの高い美によって人間の品性を高めるというものが人類に必要なのです。私はこれからそういうものを造ろうと思っている。それからもう一つは、今日の人間というものは、娯楽がなくてはいけないが、娯楽と言っても、品性を高めるというようなものよりか、品性を堕落させ低めるというものの方が多い。これは説明するまでもありませんが、そういった観覧物を見て堕落に導くものの方が多いですから、どうしても少しは品性を高めるというものが必要だ。この事は、その時には時間がなかったからあっさり話しましたが、少し詳しく話してみますと、つまりこの汚ない社会=嫌な事が沢山ある忌わしいものの中に生活している以上、その魂が(よご)れるのです。汚すまいと思っても、汚すような事柄が沢山できて来るのです。話を聞いても、ラジオでも、新聞を見てもそうです。ラジオでは、娯楽以外には世の中の良い事はあんまりありません。そういった事を見たり聞いたりしているために精神的に濁りが溜まったりいろいろします。そういうものを洗濯する、洗うというものが必要なのです。そのために地上天国と言って、天然の美と人工の美というものを楽しみながら見れば、汚れた魂が幾分でも洗われる。それから又美ですが、目によってその人の心の境地が高まるわけです。だからつまり人類社会を良くするには、そういったものがもっとなければいけないのです。ところが今まではなかったのです。地上天国というのは美の世界です。真善美の美です。そういうような事をやった人は今までにないので、そのために私がやり始めたのが、今やっている箱根、熱海です。ところが箱根は出来上がって、熱海は今やってますが、これは皆さんも知ってますでしょう。シモンズという名前の人ですが、お世辞でなく、非常に感銘したようでした。それから熱海は私が直接案内しましたが、非常に驚いて、<これは通訳が言うのですが>事々に〝こういった構想はアメリカにもない、何を見ても心を打たれる〟と喜んで帰りました。それから二、三日たって、通訳に当った人が私の所に始終来る浮世絵専門の道具屋ですが、アメリカの浮世絵を研究している人達に一週一回夜講義をしているのです。その人は信者なのです。その人が通訳をしたわけです。その人の話によると、どうやら先方も分ったらしいのです。それで帰ってからの話を聞きますと、どうも自分の方が少しタジタジだった、荷が勝ち過ぎた、だから今度自分の主人が朝鮮に行っているが、帰って来たら是非会っていただいて、又主人が十分話を交換して、自分はアメリカに帰って、トリビューンに救世教の紹介をし、そうして岡田という人の記事を是非書きたい。『世界平和の建設者』という題で書くつもりだ、という事を聞きましたが、これは本当にそうするらしいです。兎に角この新聞に相当出れば、アメリカの人に一ぺんに知れるわけです。だから神様の方から言うと、一歩アメリカの方に足を踏入れたという事になるわけです。それからその時にこういう事を言いました。つまり文明にも経と緯がある。緯の文明の代表者はアメリカだ、経の国の代表者が日本だ――これは私の書いたものに沢山あります――ですから経と緯の両方を結んで、初めて本当の文明が生まれるのだ、それでその経緯の文明を結ぶという事が、救世教の本来の一つの使命だ。という事を言いましたが、その事についても大変共鳴してました。これは本当なのです。まずその第一歩としてあなた方が来られてこういう話を交換されたわけだから、と言ったところが、大分感銘したようでした。この話はそのくらいにしておきます。

 知ってのとおりハワイが非常な勢いで発展しつつあります。それでついこの間あっちの弁護士が来ました。これはハワイの法人の許可を受くべく骨折った人です。やっと許可を得たそうですから、これからは大変やり良くなるわけです。非常に評判が良くて、しかもこの間ホノルルに本部を買入れましたが、これが大変に良い場所で、非常に立派なもので、値段も安いし、素晴しい買物だと言ってました。ハワイは五つの大きな島から成立っていますが、その一つずつに一カ所ずつチャンと支部ができましたから、これからだんだん活動するというわけです。その一つ一つの島に、つまり救世教が大いに発展するわけです。そこで今の形勢でゆきますと、結局そう長くはかからないうちにハワイ全島が殆んど救世教になると思います。メシヤ島になりやしないかと思ってます。兎に角今のあっちの発展の勢いは素晴しいものです。そうなると世界が注目します。今一番注目しているのはアメリカです。尤もそれはこっちの予定のとおりですが、つまりハワイの発展の工合を見てアメリカが〝これは大変なものだ、では自分の方に是非来てもらいたい〟という、アメリカの国民的世論でアメリカに始まるという、そういう計画ですから、そういうふうにゆくわけです。そうしますと、ハワイは食べ物はウンと出来るのですから、みんなが食べ切れないほど出来るのです。これは日本とはまるで違います。気候はよいし、あんまり悪い人間は居ないのです。日本のようにずるい人間や悪い人間というのは、結局食えないからです。それが食糧その他の豊かな所では、ずるい事をする必要がありません。ですから日本がますます悲惨な状態という事は、物が足りないという事が一番の原因だと思います。ハワイで一番苦しんでいるのが病気です。だから救世教によって病気が解決されると、本当の地上天国が簡単に出来ます。いずれハワイにも美術館を造る事になりましょう。そうなると地上天国です。ハワイのいろいろな特徴を取入れた地上天国を造るつもりです。美術館も造ります。そうなったらいよいよ世界の楽園みたいになりますから、これは世界の一つの注目をあび、問題になるだろうと思います。

 時間がないので簡単に話します。もう一つは自然栽培ですが、これは名古屋附近の人は今一番関心を払われてます。それで又この自然栽培の成績が近来になってから中京方面が素晴しい成績をあげたという、これも意味があります。これは何時も言うとおり、兎に角中京という事は東と西の真中です。真中というのは、東は経で西が緯ですから、やはり経と緯の中心です。其処で始まるという事は、これは根本的の問題です。やはり神様の経綸はそういうふうな形で、順序という事になるのです。自然栽培もまず中京から始まるという事は当り前なのです。それについて思い出されるのは、私が東京で観音教団をやった時分に、渋井さんが地方をやるようになった時に、やはり中京から始まったのです。中京という所は重要な所です。そこで自然栽培の成績がどうしても来月にならなくては確かなところが現われないのです。特集号を出そうと思って、もっと早くするつもりだったのですが、どうも予想が多い。しかし予想では面白くないので、やはり数字が現われなければならないのです。仮に何石何斗何升というようでなければいけないのです。それには来月にならなければどうしてもはっきりしませんから、それを待って、はっきりしてから農業特集号を編集するつもりです。それでもって全国的に大宣伝をやってもらいたいと思います。そうすると、丁度と言っては甚だ気の毒ですが、今年の凶作でこれを解決する方法があるかというとないのです。今年はこれでよいが、来年はどうすると言っても、こうすればよいというその方法がないのです。それでこうなると心が暗くなって、農民諸君が生きてゆくにも、どうしてよいか分らなくなります。そこに自然農法の今年の成績をもって大宣伝をするのです。これは開いた口にボタモチという事になります。そこで急激に自然農法が伝播するという事は確かです。そうなれば政府も動いて来るでしょう。大体農民層が大勢ワッと来ますから、これは文句ありません。ですからそうなると、全国的に救世教は大したものだ、有難い事だ、という事になって、一ぺんに分ります。

 今はアメリカの話、ハワイの話、日本の話と、この三つに分けて話をしましたが、いよいよわが救世教が世界的にも日本的にも一歩前進する事になるわけです。今までの長い間いろんな妨害をされ、みんな苦しみに苦しみ、つまり雪霜に堪えて来て、いよいよ今や春に向わんとする、丁度直前に来たような気がするのです。

 

 

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