霊的に見たる熱海の大火

 去る四月三日、熱海駅前から仲見世へかけて数十戸消失し、驚きの未だ()めやらぬ十日を経た十三日、今度は熱海中心部の繁華街全滅という空前の大火災に見舞われた。何しろ一挙に千六百数十戸を焼失し、損害三十億というのであるから、小都会熱海としての打撃や如何ばかりか想像もつかないほどである。と共に罹災者の損害は同情に堪えないのである。原因は自動車運転助手の過失という事であるが、勿論不注意の為である点に間違いはないが、吾々宗教人としては、この原因を霊的に検討(けんとう)する義務があると思うから、ここにかくのである。

 吾等はこれまで熱海には一大浄化があるかも知れないという事を常に唱え来たのである。という事は熱海の実体を深く考えてみるに、そういう懸念が()かない訳にはゆかないからである。それには湯の町熱海は不断にどういう役目をしているかという事である。これに就いて吾等はいつも思っている事は、熱海と言う土地が風光(ふうこう)明媚(めいび)にして、豊富な温泉を有し、然も気候温和、交通至便、実に日本中比すべきものない天与の勝地で、全く神が人間に慰安を与えるべく造られたものに違いないのである。従って人間はこの大なる神の恩恵(おんけい)に感謝し、時々来ては心を洗い、魂を清めるべきに拘らず、神の存在を認めない人間は全然無関心で、この勝地を利慾一点張りの目的に使用し、極度に汚したのである。

 右は事実を見ればよく分る。熱海には人も知る如く多数の旅館があって、それに宿泊する者は、新婚旅行者と、単なる遊覧客と、不純なる男女の密会客等である。又多くの別荘があるがその殆んどは妾宅であるから、これ等は妻女の嫉妬や怨みの想念が、不断に熱海の霊界を曇らしているのは勿論である。又多数の醜業婦がいて汚している事も少くはあるまい。大体以上によって考える時、この土地に散ずる金銭は、純なるものよりも不純なものの方がズーッと多いので、この金によって形成されたる物的存在は、何時かは火の洗礼(せんれい)を受けなければならない運命となっていたのである。この事は霊界を知るものにとってはよく分るのであるが、霊界を信じない無神論者には分り難いので、これ亦止むを得ないのである。

 そうして今回の火災に鑑み、市当局は固より国家に於ても、国際観光都市としての将来を有つ熱海である以上、不燃焼都市としての理想的構想を急遽立案しているそうであるが、これも非常に結構であり、吾等も大いに期待(きたい)している処である。併し乍ら右は物的方面であって、吾等の要望する霊的半面も閑却してはならないのである。それはどうすればよいかというと、前期の如く熱海本来の使命を認識し、出来るだけ汚さないようにする事で、過去の如き汚濁熱海を更新し清浄境熱海たらしむべき事である。

 本教が熱海の最景勝地に地上天国を造り、又将来一大公園を企図しつつある事も右の目的に外ならないのである。由来山水の美に富むこの勝地をもちながら、その美の真の活用を忘れ、低劣なる遊覧地化した事は全く一大失敗というべきで、市民が短見的目前の利益のみに捉われ、遠大なる国策に考慮を払わなかった為でもあろう。従って今回の災害を契機(けいき)とし、深き自省の下に国家百年の大計を樹てなければならない。それは国際観光都市として、世界に恥ずかしからぬ立派な熱海たらしむる事で、吾等は祈念してやまないものである。

(救世 五九号)

 

 

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