昭和二十六年度
私は、声が余り大きくないので、大勢の人に聞えるように喋るのは困難と思うから、原稿にかいて読ませることにした。
偖て今日は、初めての春季大祭であるが、昨年秋箱根で秋季大祭を行ったので、つまり二度目の大祭という訳である。これにも意味があるので、いつも言う通り、箱根は霊であり、熱海は体であるから、霊主体従の法則によって、そうしたのであります。
それから御承知の如く、熱海桃山の地上天国であるが、これは予定よりも大分延び延びになったが、何しろ永久的のもので、将来日本芸術のシンボルとして、ユートピヤ的理想郷を造るのである以上、出来るだけ高さと深さと美なるものにしたいからで、日々が掛るのもまた止むを得ないのであります。従って、延びるだけは予想以上の素晴しいものになるのは勿論で、出来の上は、以前も言った通り、日本の名物処か、恐らく世界の名物といっても過言ではないと思う程の一大芸術品となるであるましょう。勿論最後までの設計は、私の頭にチャンと、もう出来上がっているので、只時と金さえあればそれでいい訳で、大体予定は再来年出来する筈であります。勿論メシヤ会館、展望台、美術館を始め、色々な附属建築物、庭園等々も、それまでには残らず完成する見込である。その様な訳であるから、造営費も予算の何層倍に上り、先ず数億はかかるでありましょう。これを聞いたら、皆さんも驚くであろうが、茲に神様の偉大なる御経綸があるのであります。というのは、その様な多額の金が、二年や三年でどうして出来るかということで、これによってみても、人間業でないことは、想像に難からないであろう。この様に、如何に巨額の金でも、必要があればそれだけ必ず神様の方でチャンと調えてくれるのであるから、少しも心配はないのであります。従って、数カ月後、愈々建築に取掛る頃には、必要分だけの金はドシドシ入って来るに違いないと思っております。実にこれこそ大奇蹟でなくて何でありましょう。
何しろ、世界人類を救うという空前の大神業である以上、今後も驚くようなことが度々出て来るであろうから、肝玉の小さい人は、アフンとして口も利けないようなことがあるかも知れないから、余程肚を据えておかないと、まごつくようなことがあるであろう。また一方、新しい信者もドシドシ増えて、目が廻るほど忙しくなる時期が来るので、今から充分身魂を磨いて、一人でも多くの人を救うべく心の準備が肝腎であります。以上述べたことは、ホンの一部の経綸であって、もっと多くを話したら、気絶する位であるから、今はこの位にしておくのであります。と言っても、信者は本当にするからいいが、第三者には到底信じ得られない処か、誇大妄想狂としか思われないのであろう。
以上の話は、天国的で、気持のいい話であるが、実を言えば中々そんなことばかりは言っておられない現在の世界の有様であります。朝鮮問題も、愈々連合国の勝利となり、三十八度線まで取戻し、京城も連合軍の手中に帰したから、先ず安心と言いたいが、中々そう易々とはゆかない。というのは、最近の亜細亜方面を見ても分る如く、イランの情勢にしろ、御承知の如く、同国唯一の石油資源争奪の問題にからんで、同国の首相ラズマラ氏が殺されてからまだ十日も経たないのに、石油国営法案が議会で可決になったことで、これは中々軽視出来ない重大問題である。言うまでもなく、今まで英国の利権であった石油圏が危くなったことで、若しソ連が獲得したことになれば、ソ連としては、唯一の石油が、多量に手に入るのだから油断は出来ないことになる。何よりも、アレ程勝ち誇った中共軍が遂に敗退したということは、アメリカに制空権を握られたからで、それをどうすることも出来なかったのは、全く共産軍の方も飛行機はありながら石油が不足したためであるのは、言わずと知れた話であります。処がイランの石油が手に入るとしたら、ソ連の戦力は何倍になるか判らない程であるから、吾々も大いに警戒しなければならないと思うのであります。
又、最近の報道によれば、ソ連の軍隊は、日本人の捕虜を混え、幾万或は十数万が、樺太から千島方面に掛けて集結しているという噂で、これは勿論北海道侵入の準備であろう。とすれば、ソ連は朝鮮の方は一時なりを鎮めておいて、日本の北部から侵入作戦に出るかも計られないと思わざるを得ないからである。そうしてアメリカを牽制しておいて、三度朝鮮へ侵入する策戦かも知れないと想像されるのであります。それがためか、最近アメリカの方では、州の軍隊二個師を日本へ向け出発させるという外電があった位で、勿論大部分は北海道へ駐屯し、残余は枢要な各地に配分されるのであろう。また数日前の報道には、場合によっては、原子爆弾を使用するかも知れないと宣言したことなど思い合わせ、色々の情報を綜合してみると、何れは満州に対して原爆を降らすこともあろうし、長い間機を窺っていた国民政府軍も、本土目掛けて進撃することになるだろうし、そこへもっていって、仏印にはホー・チーミン軍の活躍もあり、イラン救済のため、米・英の援助も漸次強化されることになろうし、愈々亜細亜の天地は、蜂の巣をつついたようにならないと誰が言い得るでありましょう。
以上は、いつもいう通り、世界的大浄化作用の現われであるから、吾々からみれば、来るべき当然の事柄が現われるにすぎないので、別段驚くには当らないが、併しこのことを知らない人や、知らされても目を蔽い耳を塞いでいた人達は、現実に出てくると大慌てに周章てて、どうしていいか判らない暗澹たる場面に追い込まれるでありましょう。処がこの大浄化があればこそ、やがて華々しく登場するのが平和の使徒たる吾々であってみれば、前途には光明赫々たる運命が待っているのであります。それまでには大峠を越さなければならないが、吾々には何といっても神様の熱い御加護がある以上、易々と越せるのは勿論であるから、これを考えただけでも、何と大きな仕合せを握っているかが判るのであります。
（栄光 九八号）
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