私は長い間、随分いろんな人に接近したが、先ず世渡りの必要上、悪人か善人かを見分ける事が一番肝腎だと思った。然も、近来は強請が非常に多く来るので、特にそう思う。処がこの強請連中にもそれぞれ特徴があるから面白い。それを書いてみよう。
第一彼等は非常に口が巧い。彼等の話しぶりには、警戒し乍らも魅せられてしまう事がよくある。この点殆んど例外はない。次は大声を発する事、非常にしつこい事、今一つ注意すべきはこわもての奴もあり、それと反対に非常に優しくもって来る奴との二種あるから面白い。総じて、悪事をする奴は恐ろしい顔附のように想像されるが、これは反対の場合が多い。それは頗る優しく人なつっこいものである。成程考えてみれば、恐ろしい顔だと相手が警戒をするから成功率が低い訳で、優しいとどうしても引掛り易いというわけである。次は善人であるが、私の長い経験上、話の上手な人より、下手な人の方が多く、又仕事の結果も良いのである。それもそのはずで、話が巧いから人が騙されるというわけで、自然人を騙す事によって、世渡りをするようになる。処が話し下手だと人を騙し得ないから、腕で成績を挙げようとするから、前述のような結果になるのであろう。
(光 一七号)
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