或る客との対談

 最近対談(たいだん)した客は、警察方面の重要な仕事を大規模にしている人である。

 (いま)日本は防共に最も関心(かんしん)をもっている。その為警察力をもっと強化(きょうか)しなければならないが、警察官を増加する事は一寸困難(こんなん)な理由があるので、このままで現在の国警()(のう)をもっと強化させなければならない。万一(まんいち)の場合、最も迅速(じんそく)連携(れんけい)的行動が必要である。その為目下(もっか)努力中である」

 「成程、それも結構である。当面(とうめん)(きゅう)を救うとしては、それ以外に手がない事は、我等も賛成(さんせい)である。併しそれだけでは一時的で、根本的、恒久的(こうきゅうてき)ではない。とすれば、どうしても物質的方法以外、精神的の対象(たいしょう)が必要である。それには勿論信仰である。既成宗教では勿論力はない、それは現実(げんじつ)が示している。どうしても、今迄にないような新しい強力(きょうりょく)な宗教でなくては駄目だ。分り易く言えばこうである。今日の医学である。医学の行っている方法は、病原は何でも黴菌(ばいきん)としている。それが為黴菌を恐れる事(はなは)だしく、朝野共(ちょうやとも)黴菌恐怖症に(かか)っていると言ってもいい。というのは、黴菌が体内に侵入(しんにゅう)すると発病するという危険があるからで、これも現在としてはやむを得ない手段である。処が、如何に黴菌が侵入しても発病しないという健康体になれば、それで問題は解決だという事と、理窟は同じ事である。つまり共産主義にしろ何々主義にしろ、良い物なら(とり)()れる、悪い物は排撃(はいげき)するというように、その判別(はんべつ)の力を民衆が持てば良いのである。その判別の力こそ、黴菌に(おか)されない健康体と同様で、言わば思想の健康体である。それには力ある宗教によるより外はない。故に、警察強化と宗教強化と相俟って進む事こそ、理想的である」

 「よく分りました。貴教も大いにやって貰いたい」と言って帰った。 

(光 二七号)

 

 

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