真善美

 我等の理想とする地上天国とは、真善美完き世界であるのはいつもいう通りであるが、私はこれを一層掘下げてみようと思う。それには順序として『真』から書いてみるが、真とは勿論真理の具現であり、真理とは事実そのものであって、一厘の毫差なく、不純不透明(ふとうめい)のない正しいあり方を言うのである。処が今日迄の文化に於ては、真理でないものを真理と(あや)まり、真理と扱われて来たのであるから、真理ならざる偽理(ぎり)が余りに多かった事実である。にも拘わらず、それに気が附かないというのは、低い学問の為であったのは言う迄もない。何よりも現在の実社会を見ればよく分る如く、殆んどの人間は、生きんが為只アクセクと働いているばかりで、そこに何等希望もなく、生きているだけの事である。病の不安、生活難、戦争の脅威の中に(うごめ)いているに拘わらず、口を開けば進歩した文明世界と言っているが、厳正に見て殆んどの人間は、獣の如く相争(あいあらそ)い、(いがみ)()い、衝突を事として、不安焦躁の渦巻の中に喘いでいる様は、地獄絵巻である。これこそ前記の如く、偽真理文化の結果である。これに対し、識者でも気が附かず、文明世界と信じ、讃美しているのであるから、哀れな者である。

 例えば病気にしてもそうだ。医学が真理に叶っていないからこそ、何処を見ても病人はウヨウヨしている。ヤレ結核、ヤレ赤痢、日本脳炎、脳溢血、小児麻痺、何々(なになに)(とう)、数え切れない程病気の種類の多い事である。然もこの逃口上として曰く〝昔も色々病はあったが、医学が進歩していない為発見が出来なかったが、今日は発見が出来るようになったからである〟としている。それはそれとして、我等が希う処は、病人が減り、健康人が増えればいいので、只それだけである。見よ、現代人の病気を恐れる事甚だしく、その為当局も専門家も衛生に注意し、予防に懸命になっているが、滑稽なのは予防注射である。これこそ病を治すのではなく、単なる一時抑えにすぎない。というように、医学は一時抑えと根治(こんじ)との区別さえ分らないのである。尤も、分っても治病方法を知らないから止むを得ないが、然も医学は病気は健康を増す為の神の摂理などはテンデ分らないから、抑える事のみに専念し、これが進歩であると思っている。然も抑える手段が病原となるなどテンデ分らないので、進歩すればする程病気が増えるのは見らるる通りである。見よ、益々病人が増え、体位が低下しつつある事である。その為、疲労や睡眠不足を恐れ、根気なく、無理が出来ず、少し過激な運動をすると忽ちヘタバってしまう。滑稽なのは、健康のための運動奨励である。ところが事実は、スポーツマンの早死や、米国のスポーツマンが、近頃はニグロ系の選手には到底(かな)わない事実であって、これはどうしたものか、実に不可解千万ではないか。処が本教が唱える病理を守り、浄霊を受ければ、病魔は退散し、真の健康人となるのは事実が示している。

 次に今度は『善』に就いて書いてみるが、善とは勿論悪の反対である。では悪とは何かと言うと、これこそ唯物思想から発生した無神論が原因であり、善はその反対である有神論からの発生で、これが真理である。処が、この真理である有神論を否定する事が科学の建前であるから、科学が進歩する程悪は益々増えるのみか、文化の進歩といえども上面(うわっつら)だけの事である。というように、科学が作る功績も認めるが、科学が作る悪も軽視出来ないのである。それに気附かない人間は、プラスのみを讃美し、マイナスの方は巧妙な理論を作って指導者階級を虜にし、科学によらなければ何事も解決出来ないというように、精神的幸福とは凡そ掛離れてしまったのである。

 次は『美』であるが、これが又問題である。成程文化の発達につれて、美の要素は大いに増し、個人的には結構であるが、大衆はそれに(あずか)り得ないのである。見よ、一部の特殊階級のみが美衣、美食、美邸に恵まれ、庶民階級はやっと食っているにすぎない有様であり、美どころではない、腹を()たすだけの食物、寝るだけの住居、往来(ゆきき)するだけの道路、押し合いヘシ合い漸く乗れる交通機関(これは日本だけかも知れない)があるだけである。

 このような訳で、折角神の大なる恵みである山水、草木、花卉類の自然美は固より、人間が作った芸術美等も楽しめない社会である。というように、これ程文化が発達しながら、人類全体がその恩恵に浴せないとしたら、現代は全く金持の天国、貧乏人の地獄である。この原因こそ、文明の何処かに一大欠陥があるからで、その欠陥を是正し、公平に幸福が享有されてこそ、真の文明世界であって、これが我救世教の使命である。

 以上によって、真善美の真の意味は分ったであろうが、要はその実現力である。絵に画いた餅や、御題目だけでは何にもならない。処が喜ぶべし、愈々その夢が現実となって、今やこの地上に現われんとするのである。

(地上天国 五二号)

 

 

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