観光日本に就いて

 私は、去る五月二日アメリカから来た、日本系の観光団の感想をラジオで聴いたが、その中で異(い)口(く)同(どう)音(おん)に言う事は、日本は景色は素晴しいが、便所の構造の悪い事、宿(やど)屋(や)の便所にタオルのない事、電車などで男性が不親切で、老人や女性に対し、席が空いても男が慌(あわ)てて腰(こし)掛(か)けるのは、アメリカでは見られない光景である事、京都を除(のぞ)いて他の都会は、道路が狭く、悪い事等の話であるが、これに就いて聊か思いついた点を書いてみよう。

 というのは、私は箱根美術館を造り、次は熱海美術館、その次は京都美術館というように、各所に美術館を造ると共に、日本独特(どくとく)の庭園をも造る計画であるが、その目的とする処は、勿論日本人を楽しませると共に、国策上(こくさくじょう)観光外客誘(ゆう)致(ち)に貢献(こうけん)したいとの考えからである。周(しゅう)知(ち)の如く日本の風景は世界に定評(ていひょう)のある素晴しさであり、今後交通機関発達と相(あい)俟(ま)って、観光外客の数も益々増えるに違いないから、右のような欠点は何を措(お)いても、急速に改善しなければならないと思うのである。

 それに就いて我々としても、折角(せっかく)立派な地上天国の模型を造っても、他の諸々の条件が具(そな)わらないとしたら、遺憾(いかん)この上もないので、この点朝野(ちょうや)を挙げて努力して貰たいと、切に念願(ねんがん)するのである。

(栄光 二一八号)

 

 

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