宿命と運命に就いてよく質ねられるから説明をする。
先ず、宿命とはその人に与えられた決定的のものであるから、聊かも変える事は出来ない。然るに、運命は限定された或る枠内の中は自由自在で、その人の努力次第で、枠内の最上位に迄は到達なし得ると共に、その反対であれば下位に転落するのである。
今日人々の関心事となった自由主義なるものも、右の運命とよく似ている。何となれば真の自由主義とは、ある一定の枠内に制約されているものであって、無限の自由は決してあり得ない。真の自由とは、限度のある、即ち有限の自由である。故にその枠を越えた場合、それは他人の自由を侵害する事となり、文化の反逆者となる事は、運命の枠を越ゆる場合、失敗者となるのと同様の理である。
(信仰雑話 四〇頁)
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