1.真理は簡単だ

 真理なんかっていると、恐ろしく(しち)(むず)かしいように思い、額に八の字を寄せ、苦虫(にがむし)()み潰したような(つら)で考えなければならないように思うであろうが、それは大違いだ。というのは、難かしく考えるから難かしいんで、易しく考えれば何でもないんだよ。だからそのつもりで簡単に考えると、いとも簡単に分るんだ。

 人間が飯を食って、お茶をのんで、空気を吸って、(なん)()んだと文句を言って、糞小便を垂れて、それで兎も角生きている。これが真理なんだ。と言うと、周章者(あわてもの)は〝オイッ、馬鹿にするにも程がある。そんな屁みたいな理窟が、真理などとは馬鹿にするのも程がある〟と言ってムクれるかも知れないが、こちらも負けていないよ。ヘン、どちらが馬鹿にしているか、マア耳の穴をカッポジって、拙者(せっしゃ)の言う事をよく聞いてみな。お前達は何でも彼んでも難かしく難かしく考えるから分らないんで、アップアップ苦しむんだよ。だから可哀想(かわいそう)で見ちゃあおれんから、愈々(いよいよ)拙者の(とら)の巻を(ひろ)げてやるから、気絶しないよう気を附けろ。

 今、人間共が一番苦しんでいるのは、言わずと知れた病気という奴だろう。先ず人間共はチョッと病気に(かか)ると、ヤレ薬だ、ソレ注射だ、手術だとぬかして治そうとする。(ひど)いのになると万物の霊長様を、(ふな)(こい)のように俎板(まないた)の上へ乗せ、庖丁片手に穴を穿()けたり、骨や肉を切ったり、血みどろにして、病気を取出すんじゃない、天から授かった大切な臓器を(つか)みだすんだから、何とムゴイ話じゃ御座らぬか。成程命が助かる為なら我慢もしようが、中々お(あつら)え通りにはゆかない。何故かと言えば、そこに底があるんだ。と言って、ウッカリ(しゃべ)ろうもんなら、此奴(こいつ)怪しからんと言って憎まれたり、怒られたりするから、危くってビクビクものだよ。と言って、言わなきゃ人間共が苦しむんだから、マア要領よく、チョッピリばかり書くとしようよ。

 一体全体、人間という代物(しろもの)は、誰が造ったんで御座(ござ)んしょうかだ。今仮にこの事を大勢に聞いてみよう。すると大抵の(やつ)答えにまごつくだろう。それで、仕方がないから、当節流行の投票とやらで、点数を()ってみるんだ。すると先ず、こんな工合だろう。分らないという人が八十点、分るという人が二十点位だろう。そこで分るという御仁(ごじん)に聞いてみると、造物主という神様が造ったと言うに違いない。無論人間が科学的に機械で造ったという御方(おかた)は一人もあるまい。してみると、科学で造ったものでない代物(しろもの)を、科学で直そうとするんだから、(およ)そ無理では御座(ござ)らぬか。マサカ自動車が(こわ)れたんじゃあるまいし、機械や油じゃ駄目(だめ)に決っているよ。ではどうすればいいかというと、言うには及ぶで、神様が造った品物なら、ヤッパリ神様にお願い申すより外に、治る訳がないじゃ御座んすまいか。処が、これにお気が附かないんだから、人間様の頭も、チトどうかしていると言いたいよ。

 だから、拙者等が病気を治そうとすると、実によく治る。みんな吃驚(びっくり)して、目の玉をキョロキョロさせる。最新とやらの科学療法で治らない病人が、ドシドシ治るんだから、不思議だ不思議だと言うが、ドッコイ不思議でも何でも御座らぬ。人間を造ったお方に治して(いただ)くんだから、治るのは当り前で、治らないのが不思議だよ。

 次に、話は別だが、今拙者(せっしゃ)等がやっている自然農法だ。肥料をやらない程、米でも麦でも野菜でも、ウンと()れるんだから、百姓君は目のクリ玉をデングリ返して吃驚(びっくり)するんだ。だが中々分らない。曰く〝ソゲーナ馬鹿な事が、この世の中にあってたまるもんケー。デー一、人間だって、飯を食わなきゃ生きていられねえじゃないか。作物だって、同じコンだ。肥料は作物の米の飯なんだから、これをやらなきゃ、オッチんじまうに決っているのでがすよ。だから(わし)()はソゲーナ馬鹿な事は出来るもんじゃねえんだ〟と仰言(おっしゃ)るんだ。成程、御尤(ごもっとも)千万(せんばん)で御座るが、(ここ)でチョッピリ考えて貰いたい事がある。一体土というものは、何の為に誰が作ったのかという事だ。これも人間様と同様、造物主という神様が御造りになったものには違いないだから、人間共が食うだけの品物は、チャンと育つように出来ているんだよ。これもヤッパリ真理なんだから仕方がないんだ。だから余計な事をしないで、土だけに(まか)せておけば、人間共がいくら増えてもチッとも困りゃしないんだよ。何と結構に出来ているでは御座らぬか。だから百姓君の言うような、作物の食い物は、糞や毒薬や小便粕のようなものじゃないんだ。お(つち)という結構なものが、作物にとっては何よりの御馳走で、土程美味しいものはないんで、土は肥料の塊りなんだよ。処が、馬鹿なのは人間共だ。綺麗な美味しい土を食わせないで、汚ない不味い色々な変なものを食わせようとするんだから、土も作物も(くそ)面白(おもしろ)くもねえと言って、(なま)けてしまうんだ。だから人間が生きるだけの食物が穫れないのは当り前だよ。そこで仕方がないから、人の国で出来たものを分けて貰って、(ようや)く命を(つな)いでいる有様だから、(とよ)葦原(あしはら)瑞穂(みずほ)の国も、何と情ない事になったんでは御座らぬか。恐らく世の中に、こんな(ほね)折損(おりぞん)草臥(くたびれ)(もう)けの安本(あんぽん)(たん)はあるまい。それにお気が附きそうなものだが、人間余ッ程頭が空ッポになったとみえて、今以てお気が附かないんだから、流石(さすが)の神様も、捨ててはおけぬ、助けてやれとの思召(おぼしめし)から、この拙者に御命令が(くだ)ったので、拙者もあの手この手で、今一生懸命目覚ましをやっているんだよ。貴い肉体を下さった神様に、こんな余計(よけい)御手数(おてすう)を掛けるんだから、実に勿体(もったい)ない話じゃないか。

 ()て、余り長くなるからこの位にしておくが、右の通り、病気でも、農作物でも、ワザワザ余計な手数を掛けて、命を()くしたり、食い物を穫れなくしたりして、年中ブツブツ愚痴(ぐち)ばかりホザイている人間共を、見ちゃいられないんだ。だがこれも、みんな真理に外れているんだから、自業自得と言いたいが、それじゃあんまり可哀想だから、(ここ)に真理というものを書いたんだ。だからこれを読んで、よくよく(はら)の中へ(たた)っこんで、一日も早く実行する事だよ。そうしたなら、有難くて涙が(こぼ)れる程よくなるんだ。ドージャ、分ったか。虫ケラじゃない、人間共よ。

(栄光 八七号)

 

 

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