真理なんかっていると、恐ろしく七難かしいように思い、額に八の字を寄せ、苦虫を嚙み潰したような面で考えなければならないように思うであろうが、それは大違いだ。というのは、難かしく考えるから難かしいんで、易しく考えれば何でもないんだよ。だからそのつもりで簡単に考えると、いとも簡単に分るんだ。
人間が飯を食って、お茶をのんで、空気を吸って、何だ彼んだと文句を言って、糞小便を垂れて、それで兎も角生きている。これが真理なんだ。と言うと、周章者は〝オイッ、馬鹿にするにも程がある。そんな屁みたいな理窟が、真理などとは馬鹿にするのも程がある〟と言ってムクれるかも知れないが、こちらも負けていないよ。ヘン、どちらが馬鹿にしているか、マア耳の穴をカッポジって、拙者の言う事をよく聞いてみな。お前達は何でも彼んでも難かしく難かしく考えるから分らないんで、アップアップ苦しむんだよ。だから可哀想で見ちゃあおれんから、愈々拙者の虎の巻を開げてやるから、気絶しないよう気を附けろ。
今、人間共が一番苦しんでいるのは、言わずと知れた病気という奴だろう。先ず人間共はチョッと病気に罹ると、ヤレ薬だ、ソレ注射だ、手術だとぬかして治そうとする。酷いのになると万物の霊長様を、鮒か鯉のように俎板の上へ乗せ、庖丁片手に穴を穿けたり、骨や肉を切ったり、血みどろにして、病気を取出すんじゃない、天から授かった大切な臓器を摑みだすんだから、何とムゴイ話じゃ御座らぬか。成程命が助かる為なら我慢もしようが、中々お誂え通りにはゆかない。何故かと言えば、そこに底があるんだ。と言って、ウッカリ喋ろうもんなら、此奴怪しからんと言って憎まれたり、怒られたりするから、危くってビクビクものだよ。と言って、言わなきゃ人間共が苦しむんだから、マア要領よく、チョッピリばかり書くとしようよ。
一体全体、人間という代物は、誰が造ったんで御座んしょうかだ。今仮にこの事を大勢に聞いてみよう。すると大抵の奴答えにまごつくだろう。それで、仕方がないから、当節流行の投票とやらで、点数を採ってみるんだ。すると先ず、こんな工合だろう。分らないという人が八十点、分るという人が二十点位だろう。そこで分るという御仁に聞いてみると、造物主という神様が造ったと言うに違いない。無論人間が科学的に機械で造ったという御方は一人もあるまい。してみると、科学で造ったものでない代物を、科学で直そうとするんだから、凡そ無理では御座らぬか。マサカ自動車が壊れたんじゃあるまいし、機械や油じゃ駄目に決っているよ。ではどうすればいいかというと、言うには及ぶで、神様が造った品物なら、ヤッパリ神様にお願い申すより外に、治る訳がないじゃ御座んすまいか。処が、これにお気が附かないんだから、人間様の頭も、チトどうかしていると言いたいよ。
だから、拙者等が病気を治そうとすると、実によく治る。みんな吃驚して、目の玉をキョロキョロさせる。最新とやらの科学療法で治らない病人が、ドシドシ治るんだから、不思議だ不思議だと言うが、ドッコイ不思議でも何でも御座らぬ。人間を造ったお方に治して戴くんだから、治るのは当り前で、治らないのが不思議だよ。
次に、話は別だが、今拙者等がやっている自然農法だ。肥料をやらない程、米でも麦でも野菜でも、ウンと穫れるんだから、百姓君は目のクリ玉をデングリ返して吃驚するんだ。だが中々分らない。曰く〝ソゲーナ馬鹿な事が、この世の中にあってたまるもんケー。デー一、人間だって、飯を食わなきゃ生きていられねえじゃないか。作物だって、同じコンだ。肥料は作物の米の飯なんだから、これをやらなきゃ、オッチんじまうに決っているのでがすよ。だから儂等はソゲーナ馬鹿な事は出来るもんじゃねえんだ〟と仰言るんだ。成程、御尤千万で御座るが、茲でチョッピリ考えて貰いたい事がある。一体土というものは、何の為に誰が作ったのかという事だ。これも人間様と同様、造物主という神様が御造りになったものには違いないだから、人間共が食うだけの品物は、チャンと育つように出来ているんだよ。これもヤッパリ真理なんだから仕方がないんだ。だから余計な事をしないで、土だけに委せておけば、人間共がいくら増えてもチッとも困りゃしないんだよ。何と結構に出来ているでは御座らぬか。だから百姓君の言うような、作物の食い物は、糞や毒薬や小便粕のようなものじゃないんだ。お土という結構なものが、作物にとっては何よりの御馳走で、土程美味しいものはないんで、土は肥料の塊りなんだよ。処が、馬鹿なのは人間共だ。綺麗な美味しい土を食わせないで、汚ない不味い色々な変なものを食わせようとするんだから、土も作物も糞面白くもねえと言って、懶けてしまうんだ。だから人間が生きるだけの食物が穫れないのは当り前だよ。そこで仕方がないから、人の国で出来たものを分けて貰って、漸く命を繋いでいる有様だから、豊葦原の瑞穂の国も、何と情ない事になったんでは御座らぬか。恐らく世の中に、こんな骨折損の草臥儲けの安本丹はあるまい。それにお気が附きそうなものだが、人間余ッ程頭が空ッポになったとみえて、今以てお気が附かないんだから、流石の神様も、捨ててはおけぬ、助けてやれとの思召から、この拙者に御命令が下ったので、拙者もあの手この手で、今一生懸命目覚ましをやっているんだよ。貴い肉体を下さった神様に、こんな余計な御手数を掛けるんだから、実に勿体ない話じゃないか。
偖て、余り長くなるからこの位にしておくが、右の通り、病気でも、農作物でも、ワザワザ余計な手数を掛けて、命を失くしたり、食い物を穫れなくしたりして、年中ブツブツ愚痴ばかりホザイている人間共を、見ちゃいられないんだ。だがこれも、みんな真理に外れているんだから、自業自得と言いたいが、それじゃあんまり可哀想だから、茲に真理というものを書いたんだ。だからこれを読んで、よくよく肚の中へ叩っこんで、一日も早く実行する事だよ。そうしたなら、有難くて涙が零れる程よくなるんだ。ドージャ、分ったか。虫ケラじゃない、人間共よ。
(栄光 八七号)
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