2.マドレーヌ・ダヴット女史

パリ・セルニスキー博物館副館長

(昭和二十七年八月二十二日 於 箱根美術館)

   〝世界の二つの美術館〟

明主様 あなたの事は新聞でよく拝見しました。あの時私も是非お見せしたいと思ってました。日本には相当前からですか。

ダ 嬢 今年の二月に参りまして、来年の二月頃迄居ります。

田付女史 ユネスコの関係で、その代表して参りまして、日本の美術に明るい方で御座います。

明主様 この美術館は日本のを揃えてありますから、何時でもおいでになって、充分御研究なさって下さい。

ダ 嬢 吃驚致して居ります、見た事もないような物がありましたので、写真をフランスに送りたいと思いまして、色々御迷惑をお掛けして居ります。度々御厄介をさせて戴きます。

―― 因果経と湯女を現寸法でユネスコに送ってくれと申して居られました。それが世界中に廻るそうで御座います。

明主様 それは良いです。

―― 十一月頃迄かかるのではないかと思います。

ダ 嬢 構いません。パリにあります東洋美術の博物館に送って戴きましたら、直ぐに陳列致します。

明主様 美術ではフランスは非常に親しいですから――ヨーロッパではフランス、東洋では日本ですから――。世界の二つの美術国でしょう。

ダ 嬢 その通りだと思います。

明主様 美術を大いに盛んにするという事は、やはり思想的にも非常に良いと思います。

田付女史 この方はズーッとグルッス博士の右腕で、一人で博物館の配置や何かも致して居ります。未だお嬢さんで御座いまして――東洋美術と結婚なさったのだそうで御座います。それであっちに飛び、こっちに行き致して居りますが、支那には未だ行かないそうです。

明主様 それに支那は珍しい物はないでしょう。

ダ 嬢 北京の博物館にはあると思います。

明主様 あるでしょうが、併し良い物は蒋介石が持って行ったでしょう。支那美術はアメリカあたりの方が多いです。

ダ 嬢 そうでしょうね。

―― 仁清の(かさね)茶碗が気に入りましたようです。

明主様 やっぱりね、デザインが新しいですからね。

田付女史 青磁のお茶の茶碗が気に入りまして、盗みたいと……。ひっくり返っても、半分も買えないそうで、仕方がないので。――という事になりまして。

明主様 どうぞ……。(笑)

 

   〝フランスに生きる光琳〟

明主様 フランスでも展覧会をやりたいと思ってますが――。

ダ 嬢 日本の美術展をパリでやり、それで東京でフランスの美術展をやりたいと思ってます。

明主様 日本美術というものは、今迄殆んど外人の目に触れる事は、あんまりなかったのです。つまり日本の美術品は、金持や華族――そういう所の倉に(しま)ってあって、人の目に触れる事を嫌がって居たのです。それですから日本に来て見たいと思っても僅かは見られますが、点々と方々に散在(さんざい)してますから、見ようと思っても全然出来なかったのです。それで私は、そういった美術を誰にも楽しめる機関を作らなければならないというのが、この美術館の根本です。ですから今迄見られなかったという、そういう物を出来るだけ見せたいと思って色々苦労しているのです。それで私は今迄、光琳、光悦、宗達、乾山等の物を一番主に蒐めて来ましたから、その展覧会をやろうとも思ってます。今マチスとかピカソとか言っても、結局元は光琳ですからね。

ダ 嬢 そう思います。日本の美術は、フランスの現代の美術に関係がありました。光琳のは写真だけ見ました。フランスで光琳の絵を見ますが駄目です。フランスの現代の美術に大いに研究となりました。

明主様 そうですね。光琳の掛物では、宗達のが沢山ありますから、それを出します。これは非常に参考になると思います。

ダ 嬢 女の人でもう一人、パリで研究している人が最近来ますので、二人で是非伺わせて戴きます。

明主様 日本人が絵を習おうと思ってマチスの所に行った処が、お前は何もフランス迄来る必要はないではないか。日本には光琳という立派なのが居る。光琳がオレの先生。だから態々(わざわざ)フランス迄来る必要はないと言ったそうです。

田付女史 マチスも大分年を取って、もう駄目になったらしいようです。

ダ 嬢 光琳の前の日本美術に就いては本当に知りませんでした。

明主様 それは、見る機会がなかったからです。

ダ 嬢 そうですか。――日本の美術の展覧会がどうしても必要だと思います。

明主様 そうです。

ダ 嬢 フランスには金襴手が少ないのです。

明主様 支那のですか。そう言えば私の所に図録がありますが、無いです。金襴手はアメリカ、イギリスにも少ないです。あっちにある金襴手は極く近代です。康熙(こうき)から(けん)(りゅう)です。二百年位からはありますが、金襴手というのは(みん)ですから、四百年位前です。それは無いです。あれは日本人が非常に珍重(ちんちょう)して、昔日本に輸入された時大名が大切にして居たのです。それから青磁の良い物もあんまり無いです。アメリカ、イギリスにもありません。イギリスにある良い物は(きん)(よう)です。あれは日本以上の物があります。均窯は日本にはあまりありませんが、青磁はあります。然もイギリス、アメリカは土中物と言って、土の中から出した。日本のは伝世(でんせい)ですから全然違います。ですからお茶の茶碗で玳玻盞(たいひさん)というのがありましたでしょう――鳳凰の画いてある、あれが伝世と言って土に入ってないのです。それが大抵は土に入っていたのです。

―― アンダーソンの壺はフィンランドにあるそうで、三千年前とかの物が非常に多いそうです。日本には非常に少ないそうです。

明主様 そうです。

田付女史 この間支那人に会いまして聞いてみますと、日本には確か二つある。一つは箱根で、一つは京都だと言ってました。

―― 牡丹蝶文厎()()(びん)を良いと言われます。

明主様 あれは良い物です。あれはアメリカの雑誌に出てますが、あれの悪い物もあるのです。良い物は日本で、大阪の白鶴です。白鶴美術館には良い物があります。

ダ 嬢 サンフランシスコには持って行きましたのですか。

明主様 ロスアンジェルスには持って行きました。

ダ 嬢 ユネスコに援助(えんじょ)して戴きたいと思います。ユネスコの方でも今度こっちで報告しますので知れますから……。

明主様 美術をやるという事は、思想的に幾分の良い事になりますね。

田付女史 ユネスコは一生懸命になって居りまして、浮世絵の良い木版で、今迄出てない新しいのを五十枚私の方の役所に言って参りましたが、全部の版を買う金が無くて随分心配しましたが、出来たのを見まして、綺麗だというので貰うという事になりましたそうです。

明主様 日本では版画の良い物を()って作っているのがありますよ。

田付女史 東洋美術協会で非常に喜んでやって下さいました。世界中に廻るそうで御座いますが、版画ばかりでは日本の美術とは言えませんので。

明主様 結局良い画帖を作ろうと――私は、いずれそれをやろうと思ってます。日本で有名な物を写真版に相当作って、各国のそういう所に。――――日本には良い物が沢山ありますからね。

ダ 嬢 奇蹟的と言っても良い位素晴しい御考えだと思います。

―― 因果経は奈良の方が良いのではないかと仰言って居られました。

明主様 そう言っては何んですが、あの方が悪いのです。ここの方が一番先に出来たのです。

ダ 嬢 そうらしいですね。

明主様 あの方がその次です。奈良の方のは美術学校の所蔵になってますが、天平時代でも前と後と両方出来て、後のが奈良の博物館に出ているのです。比べてみれば直ぐ分ります。

ダ 嬢 因果経が一番好きです。どうも日本の絵は、全部そこから出ているような気がします。

明主様 それは中々慧眼(けいがん)です。本当にそうです。因果経から出て、それから大和絵に……。

ダ 嬢 大和絵の元ですか。

明主様 そうです。中々良く知って居られる。因果経から大和絵になって浮世絵になるのです。その因果経から大和絵になった一番最初のが私の所にありますから、今お見せします。そこ迄分っていれば大したものです。日本人でもそこ迄分っているのは少ないです。

 

   〝メシヤ教と美術館〟

新聞人 教主は随分御詳しいようですね。

明主様 私は若い時分から好きで、随分研究してます。

新聞人 教主が御覧になると、これは偽物かどうかという事は御分りになりますので……。

明主様 直ぐ分ります。

新聞人 摑まされた事は――。

明主様 最初はありますが、併し直ぐ分ります。

新聞人 メシヤ教と美術館の方との関連は、どういう事になりますので――。

明主様 表面的にはないけれども、これだけの物を造ったのは、やはり信者が皆金を献金しているのです。こういう美術館というのは、国家としても非常に必要なのです。ですからこれに対して、文化財保護委員会も非常に喜んでます。こういうものが国家にはどうしても必要だと言ってます。

新聞人 非常に良い場所に出来まして吃驚しました。

明主様 そうです。場所も良いです。それに外人は箱根には必ず来ますから、そうすれば此処は嫌でも見ます。それが一番です。処が今迄は個人では中々見られなかった。ですから一般的のものが、どうしても必要なのです。

新聞人 メシヤ教は美を非常に尊ぶという事は――。

明主様 それは真善美ですから、美というものは必要なのです。私の方では宗教と芸術というものは切っても切れないものだと言っているのです。つまり宗教というのは人間の心を良くするのです。つまり思想的に向上させるのです。それには美の働きをさせる、高める。それから耳からも目からもやる。処が今日目から入るものは向上するより低くする方が多いです。色んな――ストリップとかも結構ですが、その間に、高める良いものをというのが非常に考えられる。読売の谷川徹三さんの記事は非常に宣伝になったようです。

新聞人 展覧会があった時は批評家に来て貰って一度見て貰い、新聞に書くと共に美術雑誌に書くようにしたら宜しいでしょう。

明主様 芸術新潮に出てます。

新聞人 やっぱり専門の芸術雑誌に美術館だけを取上げるようにする――例えば箱根美術館の特集号を出すようにしましたら宜しいと思いますが。

明主様 段々そうしましょう。併し今外国人に大騒ぎをやられると、日本人も大騒ぎをやるのです。映画の羅生門と同じです。私も最初は大したものと思わなかったが、それを聞いて見直してみたら、成程良いです。美術館の美術品も、それと同じことでしょう。

(釈迦八相図四幅対の掛物を前にして)

ダ 嬢 大変面白いです。

明主様 そうでしょう。つまり仏画から大和絵になる処です。これが鎌倉時代の初期です。ですから藤原時代の感じがよく出てます。

ダ 嬢 そうですね。作者は同じですか。

明主様 そうです。

ダ 嬢 同じ時代ですね。

明主様 そうです。

田付女史 箱根の美術館は、早い事外国の方に有名になるかも知れません。ユネスコの方で手をつけますと。日本人の方が、そういうのがあったそうだと飛込んで来なければならないようになるのではないでしょうか。

明主様 やっぱり舶来崇拝も中々抜けないでしょう。

新聞人 此処の設計は教主ですか。

―― 二日位でおやりになられました。それで、ケースの大きさ等も、何を何処に並べるかということから、何は幾らの寸法、という工合で……。

ダ 嬢 実に良く出来てます。素晴しいです。

新聞人 此処に来て、見せて戴いて、寝ころがっていたら……。

田付女史 新聞社の編集室や役所とは、大分違いますね。

明主様 偶には涼みに来たら良いです。兎に角此処の位置が箱根では一番です。箱根では強羅です。他では四方見下しという事が出来ないです。強羅はそういった風景ですが、秋になると海が見えます。三浦半島からズッと……。それで強羅の真中が丁度此処です。日本では箱根が、日本の公園としては一番ですが、此処が箱根中で一番ですから、此処は日本中で一番だろうという事になります。つまり箱根の重要地帯を利用したのです。私は前から、美術館を造るとしたら環境の良い処をと思っていました。環境とのマッチが中々です。

 

   〝私の弟子はキリストの奇蹟をあらわす〟

田付女史 十年程会わなかった男ですが、今度会員となって御面会を戴き、御浄霊を戴いて帰った処、なんだあんなつまらない事をと思っていたそうです。その男にはイボが三つありましたのですが、明くる日に髯をそろうとしいましたらイボが無くなっていたそうです。で、奥さんにオレのイボを何処にやったと言ったそうですが、オレは不思議という事は考えないのだが、何んにも苦労をしないでイボが無くなったという事はどういう訳だ。そんな馬鹿な事があるかと私に怒るのです。ですから、最近お伺いするから、イボが何処かに行くものか伺って来てあげると言ったのです。

―― 今の世の中の人の議論的考え方を代表しているようで御座います。

明主様 今それ以上の事があります。今度「栄光」(一七一号)に出しますが、十分間息が止って死んで、それが生き返ったのです。それを今度出します。

新聞人 病気で死んだのですか。

明主様 病気で死んだのです。医学でだと、大々的に出しますが、我々の方での事は鼻クソ程です。

新聞人 教主がやりましたのですか。

明主様 私でなく弟子がやったのです。私の弟子はキリストの奇蹟位の事は毎日やってます。それを知ったら大変ですよ。

新聞人 ウーム

明主様 脈が十分間止ったのですからね。

新聞人 そういう事が毎日のようにあったら大変ですね。

明主様 そうですよ。それを考えれば美術館なんか何でもないです。

 今度出版するのも大変と言えば大変ですが、『結核信仰療法』というのですが、これも出たら問題になります。というのは、結核は医学が作っているという説なのですから――。それから結核は伝染しないという事をすっかり立証的に書いてます。これは相当のセンセイションを起すと思います。そして新聞広告もするつもりです。

新聞人 生命の実相という事を谷口氏が書いてますが、どう御考えですか。

明主様 私は問題にしていません。新しい説は一つもありません。古い聖書や仏教の意見や何かを綜合して書いているのです。併しあれでも只、唯物的思想に対して唯心的思想を吹込むだけの事は出来てますから、これは結構です。そういった意味で非常に賛成もしてます。ですからそういった、つまり霊的文化に対する一つの入門の手引というような形式があるわけです。私が言う〝文明の創造〟というのは、宗教とかそういうものに対する大学の講義というか、そういったものです。

新聞人 そういうのが一つになって運動を起そうというのがあるのではないでしょうか。

明主様 ありません。

新聞人 この間代議士の花村四郎氏に連れられて立正交(佼?)会の会長に会い、話を聞きましたが、病気は心にあるわだかまりを吐き出してしまえば良くなるという話をしてました。

明主様 大体あそこはそう言うのです。私の説くのはあんまり桁が外れ過ぎるのです。一寸話がしにくい位なものです。だからメシヤ教の説というと、あんまり桁外れなので反って誤解を受ける事がある位です。

だから、ウンと割引して話さなければならないのです。大袈裟に言う――とか言いますが、アベコベです。余程加減しているのです。

田付女史 カルティユさん(この方はフランスパリ・マッチ誌主筆で、一カ月程前明主様と御面会された、有力な仏人です)から手紙が参りまして、忘れられない御方で、そうして心の中に非常に残って居られると、宜しく申し上げて下さいとの事でした。

(地上天国 四一号)

 

 

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