3.大乗仏教と小乗仏教

(1)二派に分裂

紀元前3世紀頃、釈迦の弟子たちの間で意見の相違が生まれ、原始仏教が二派に分裂した。

仏教の教えによって、すべての人が仏陀となるか、成仏するとかいうことを説くようになったのは大乗仏教になってから。

①「上座部仏教」(南伝仏教)

上座部仏教は、南方のスリランカを経由してタイ、ビルマ(現ミャンマー)などの東南アジア諸国に伝わったため、「南伝仏教」とも呼ばれる。

出家主義をとり、厳格な戒律を重視。出家して厳しい修行を積んだものだけが悟りを開くことができ、救われるという考え方。上座部仏教が伝わった東南アジア諸国の仏教は、インドの原始仏教の原型を保ちながら発展。現在のタイやカンボジアなどの南方仏教に受け継がれている。

 oタイ

上座部仏教の典型的な国がタイ。国民の約95%が敬虔な仏教徒で、男性は20歳を過ぎると最低1ヶ月は出家することを慣行とし、出家した僧侶には227にもおよぶ厳しい戒律が課せられる。その間、セックスばかりではなく、女性に触れることも禁じられている。僧侶に布施することが功徳を積むことになり、来世の安穏が保障されると考えるタイでは、僧侶の生活は人々からの喜捨(施し)によって維持される。

※ 上座部仏教圏では、礼儀や習慣も日本と異る。特に頭を触られることは最大の屈辱と考えられているので、小さな子供でも絶対に慎むこと。

②「大乗仏教」(北伝仏教)

大乗仏教は、2~3世紀頃、デカン高原にあったアーンドラ王国のナーガールジュナの「中論」により、集大成された。集大成されて後、大乗仏教は、インド東北部のガンダーラやネパールなどを経由して中国に伝播したことから、「北伝仏教」とも呼ぶ。

出家在家にとらわれず、釈迦の教えを広く大衆に広めることを主張。上座部仏教は、出家して厳しい修行を積むことによってのみ悟りを得られるとしたため、限られた人たちしか救われない。これを批判した大乗仏教側は、「少人数しか乗れない小さな船」にたとえて、上座部仏教を「小乗仏教」とも読んだ。

 oさまざまに変化した大乗仏教

アジア各地に広がった仏教は、それぞれの国で発展する。

大乗仏教が伝わった中国では、シルクロードを通じて伝播された西方の文化や儒教・道教がミックスされた独自の大乗経典が成立。

中国から朝鮮半島を経由して、その経典を移入した日本では、土着の浸透などと融合して独自の密教が生まれ、平安末期以降には「他力本願」を唱える新しい民衆仏教が誕生した。

 o「維摩教」

大乗経典。在家の信者である維摩が、出家者の釈迦の高弟たちの思想や実践修行を徹底的に論難し、真理を教示して彼らを導くという構成。

維摩は、維摩詰(ゆいまきつ)の略称。インド毘舎離国の富裕な在家の仏教信者。学識が高く、菩薩行を実践して釈迦の弟子になった。

(2)釈迦との関係

大乗仏教では、釈迦を、宇宙仏である「毘盧(るび)遮那仏(しゃなぶつ)」が遣わした如来ととらえ、出家以前の釈迦も崇拝している。

小乗仏教では、出家後の悟りを開いた釈迦のみを崇拝する。

 

 

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