茲で、地球の出来た頃からの事をかいてみるが、抑々造物主という、得体の知れない不思議な親方が宇宙の中間に頑張っていたらしい。そこでどういう積りか知れないが、その親方は日月星辰や、地球なんていう妙な物を拵えたんだ。それで最初の内は、地球も出来立てのホヤホヤであったから、泥海のようにブヨブヨしていたんだ。それが段々固るにつれて、土と水と分れ分れになったのが、今日の陸と海なんだ。処で陸の方はまだ軟かいので、親方はこれじゃ駄目だと、恐龍とかマンモスとかいう恐ろしくデッカイ怪物のような生物を造って、そ奴等に陸地の上をドタリドタリ駈けさせて、そうして固めさせたというんだから、如何に大仕掛な土木工事であったかは、虫ケラ同然の人間なんかには想像もつくまい。それでいい加減固った頃、お前等はもう用はないと言ってお払箱にされた。これが自然淘汰というものなんだ。今でも方々から恐龍の骨やマンモスの骨が見つかるんだから決して嘘ではない。そうしておいて親方は又いろんなものを作った。虫ケラや鳥や恐ろしい猛獣や、気味の悪い大蛇は固より、木や草、石や金などを拵えて、すっかり仕度が出来上ったんで、最後に人間共を作ったという事なんだ。
その時分だから、人間も裸で生まれて来たには違いないが、何しろ人間は毛が生えてないから、寒くて仕方がない。そこで初めは木の葉や草の葉で着物らしいものを作って間に合していたが、段々利巧になって麻や木綿で着物を拵えたり、家を建てたりするようになったが、猛獣や大蛇が沢山いて、始終人間を喰い殺しに来るので、危くて仕方がない。そこで人間も色々な武器を作って戦ったんだ。こんな訳で武器も巧妙になるというように、人間も大分小賢しくなったのは勿論だ。それでやっと恐ろしい獣共を大方退治してしまったんだ。これも自然淘汰という奴だよ。これでヤレ安心と思うとさにあらず、今度は人間の中に欲張り野郎が出来て、大きな土地を欲しがったり、色々な物を取りたがったり、女を手に入れようとしたりして、到頭人間同志(士?)の闘いが始まったんだから、人間位浅ましい代物はあるまい。それで何奴も此奴も勝とう勝とうとして、人殺し機械を段々進歩さして、到頭原子爆弾という一ぺんに何百万の人間をやっつけてしまうという飛んでもない代物が出来てしまったんで、世界中の人間共は度胆を抜かれて、目を白黒しているのが今の有様だ。
処が、親方はこれでもうよしと思ったらしい。何しろ人間共の命の取合いは、もうこの位で止めないと危いと仰せられた。何故なれば、これ以上進歩すると、折角これまでに出来た世界は元の木阿弥になるからだ。もうこの位立派になった世界だから、愈々儂が最初から計画しておいたミロクの世を拵えてやろう。そこで又親方は声を秘めてこうも言われた。実は今まで戦争が必要だから放っておいたんだよ。それは、戦争をさせなければ文化の進歩は早く出来なかったからだよ。処がもう戦争は必要がなくなったから、絶対廃止にしたんだ。これもヤッパリ戦争の自然淘汰なんだ。と仰言るんだから、何と有難いでは御座らぬか。
親方は又こう仰言る。戦争を淘汰したから、愈々これから地上天国、ミロクの世の建造に取掛かるんだよ。これは今まで儂は色々なものを用意していたが、漸く揃ったんで、今度救世の親父に命令したんだよ。だからこれを知った善人共はみんな嬉しがって、手の舞い足の踏む処がないだろう。それをみるのが儂はどんなに楽しいか分らないのだよ。昔キリストや釈迦にも、こういう世の中が来る事を一寸言わしておいたから、人間共は分っているはずだ。分らなかったり、本当にしなかったりした奴は、了(料)簡方が悪いからで、今更悔んで泣きついたとておっつかないよ、と仰言るだろう。万事は救世の親父に委してあるから、よく親父から聞いて、その通りにすれば仕合せな世の中になる事請合だよ。どうだ相分ったか。と仰言って、雲に乗り、天に向ってお帰りになったんで御座る。
(救世教早わかり 二九頁)