つい此間のラジオで、スエーデンのハルマンと言う学者の研究で、五十年以前の気候と較べると地球は平均十度高くなっていると言うのです。之は研究だから間違いないわけです。そうすると之は大変な問題だと思います。昔に――五十年に十度高くなるとすると、五百年で百度高くなります。そうすると生きて居られない事になる。そうしてみると以前はそういう事はなくて、最近の五十年で急に温度が増えたのです。即ち私が言う、昼間の世界になって火素が増えたという事が、斯ういった――科学的に立証されたわけです。で、霊の方の火素が増えたから、体の方は増えそうもないと思うけれども、そうではないのです。やっぱり体にも幾分影響するのです。私が浄霊すると、熱いと言う人が御蔭話なんかに沢山あります。中には汗をかく人もありますが、やはり霊ばかりでなく体も加わるわけです。ですから火素が増えるという事は、之は動かすべからざる証拠があるわけです。それからもう一つ面白いのは、今年は日本中の温度が、此夏は非常に異うのです。一番暑いのは東京です。私は毎日ラジオで温度を聞きますが、今日あたりも東京が暑いのです。今日でも二十二度です。反って熊本あたりの方が低いのです。広島が二十度かです。それから強羅が高いのです。今日あたりでも二十二度位です。日本でも東京と強羅です。あとはずっと低いのです。強羅の高いのは私が来ているせいです。やっぱり火素が増えるわけです。そんな様で余程面白いです。それから之もよく新聞や何かに出てますし、農村の人は良く知ってますが、害虫が非常に増えて来たのです。害虫は年々増えます。今年は螟虫が増えてますが、螟虫なんて言うのは聞いた事がないです。螟虫というのは近頃らしいです。何ういう字を書くか?まさか「迷」という字を書くのではないでしょうが――。あれは肥料の新しいのが出来る為に、何時も言う通り肥料で虫が湧くのです。今年なんかは尿素と言う、小便――尿素肥料が非常に増産しているのです。で、今硫安は減らす方針です。之は農林大臣なんか言ってますが、硫安を減らして尿素を増やすという事を言われてますが、尿素というのは或いは――螟虫と言うのは尿素から発生するのかも知れません。そうすると一生懸命に色んな肥料で害虫の種類を増やしているわけです。そうすると薬と同じ事です。
今のヒドラジットなんていうのは、今度は黴菌が抵抗性黴菌になった――抵抗性黴菌というと強い黴菌です。だから今迄の黴菌とは異った黴菌になるわけです。之も一つ種類を増やしたわけです。だから薬の種類が増える丈は色んな虫の種類が出来るわけです。では薬や肥料で何うして虫が湧くかというと、之は立派に原因があるのです。肥料でも薬でも、言わば汚物ですから、汚い物です。だから汚い物には何うしても浄化作用が起る。要するに自然の掃除が起る。自然の掃除が起る場合に、掃除をする人間――ではない、虫が自然に湧くのです。物質の原則――法則というものは汚い物がそこに溜ると、それを綺麗にすべく作用が起るのです。やはり霊界に曇があると低気圧が起る様なものです。そういう様に作られてある。だから汚い物があると、その汚い物を食って無くするのです。消すという作用としてその虫が湧くのです。そこで何故汚い処に湧くかという根本的の意味が分るです。便所に蛆が湧く様なものです。一体蛆は何んで湧くかというと、糞は汚い物だからです。汚いというのは、人間が特に間違った――今言う、薬や何かを飲むとか或いは間違った行で穢すとかで余計汚い物が出るのです。そこで余計蛆が湧くという理窟になるのです。ですから丁度、薬にしろ肥料にしろ、あれは蛆や虫の原料になるわけです。そうすると霊界に火素が多くなり浄化作用が強くなるからして掃除をする虫が早く湧くわけです。湧き易くなる。そこで近来になって害虫が湧くという理窟になるのです。で、その害虫を殺そうとして、防虫剤だとか消毒薬だとかそういったような薬を撒くと、それが又土を汚しますから、それを作物が吸うと作物自体が――消毒薬の薬が古くなり殺虫剤が古くなると、丁度膿みたいなもので汚物になる。そうするとそれを食って消す害虫が湧くという順序になりますが、そこで虫が湧き易くなるという事になる。よくそういう事が分かっていると、如何に今の人間が愚かということが分ります。骨折って悪くしている。今の話は虫丈なのですが、之は人間にも当嵌まるのです。というのは人間が悪い事をしますが、悪い行をすると其人間が穢れますから、霊的に不潔な人間になるわけです。何うしても其人間を掃除しなければならない。そうするとやっぱり黴菌が必要なのです。黴菌なり害虫が必要になります。然し人間は農作物と異って、害虫という奴が人間なのです。それが悪人です。悪人が其人を苦しめるわけです。苦しめて不潔になった人間の不潔分丈を掃除するのです。だから無論病気が主ですが、病気以外の色んな災難とか悪い奴が瞞して損をかけるとかいう事は沢山ありますが、そういう事もやはりその人の持っている金が不潔な金、間違った金、ずるい事をして溜めた金、というそういう不潔な金は何うしても掃除しなければならない。その代りに黴菌人間が瞞して捲上げる。という事は一つの浄化作用です。そうしてみると、あいつに酷い目に遭ったとか悪い奴に瞞されたとか泥棒に盗られたとか、色んな事で損したり苦しめられたりする事は、其人自体に不潔物があるからです。処が面白いのは害虫人間が又浄化される事になるのです。そうするとそれを浄化するのは、やっぱり害虫人間です。丁度薬で病気の苦しみを抑えて、その薬毒が又苦しみを作るというそういった経路と良く似ているのです。そこで悪い奴が益々増える、益々人間はずるくなる。そうするとその不潔物を食う害虫人間が又増えるという事になって、つまり今の人間はそういう様な経路が良く出てます。それは、何処の監獄や刑務所に行っても年中満員です。それで警官をいくら増やしても足りないのです。それで世の中が変テコになっているのです。
日本は軍備をしてはいけないとか、軍備反対などと言ってますが、斯ういう事も可笑しいのです。之を一言いって置きたいのですが、仮に日本に軍備が全然ないとしたら――軍備反対の連中が中々多いです。国民投票をしたら日本の軍備反対は女が多くはないかと思います。処が朝鮮問題をみれば分りますが、一昨年北鮮軍が南鮮に向って攻撃した時に、若し南鮮に軍備が無かったら、二日か三日で釜山迄北鮮軍が侵略して了います。そうして反対する者はみんな海に落して了います。処がアメリカの援助の軍隊が来る迄兎に角持堪えたのは、南鮮にあった兵力の為なのです。ですから今ソ連は日本を狙って、そうして北海道から侵略しようと今準備をしている。樺太なんかに飛行機が何百機とか何千機とか、軍隊が何十万とか何百万とかと、非常に増強している。それから本当には判らないが、島と島とを続けた何かを作ったに違いないと言ってますが、それは未だ分からないのです。というのは潮流が変って来たのです。潮流が変って来たから今迄穫れる魚が穫れなくなった。だから何処かで潮流を遮ったに違いないというのです。然しそれも充分に調査は出来ないのです。何しろソ連の方の事だから――。然し兎に角そういう様な、北海道から侵略しようという計画は充分分るのです。そうするとソ連は日本をやっつける為に、北海道を侵略して来た時に幾分でも日本に軍備があれば良いですが、無ければドンドン入って来て九州迄行って了います。それは、共産政治の下に生活して居た人は結構ですが、共産主義よりかアメリカの資本主義の方が余程自由があって良いのは確かです。どうも我々は共産主義政治にされたくないです。そうしてみると少くとも日本は連合軍の仲間入りして、イザという時に援助の軍隊が来る迄持堪えるという丈の軍備は何うしても無くてはいけない。処がそれを反対するという日本人の気が知れないのです。それは婦人なんかで、伜が兵隊に行くのは嫌だ、夫が兵隊に行くのは嫌だ、というそれも人情から言えば分りますが、然しそれを助けんが為に日本人全体が苦しまなければならない、という事の方が大変に大きいのですから、そういった大きい小さいを較べてみると直ぐ分るのです。只一時的の感情に支配されて国全体の大きな災を省りみないという事は、あまりに――丸で無教育圏の人間みたいです。その位の理論さえ分らないかと思われる位です。そういうふうになったという事は――黴菌とは一寸離れた様な話ですが、兎に角中毒の為に今の人間の頭が非常に悪くなっている。で、日本人の頭が悪くなったのは、何時も言うのですが酷いものです。身体が汚れ切っているのです。然し黴菌の話の序ですから、そういう事も心得て居なければならないと言うのです。政府もそれは知っているのだから大いにやりたいが、やれないという事は、つまり本当に言えば憲法を改正しなければならない。処が民主政治というのは非常に厄介なもので、憲法改正には何うしても国民投票――何ういう方法でやるか、大体国民全部の内の賛成が多くなければ、それは出来ない。然し今選挙権を持っているのは、女の方が二、三百万多いのです。そうすると国民投票をやれば、軍備反対の方が多いですから成立しない。それで政治はそうしたいのだかやれないのです。ですから其点も実に可笑しい位なのです。では黴菌人間は何うなるかというと、それに就いて書いたのです。それから第三次戦争がそういう人間を解決するのです。
御論文〔第三次戦争は果して有る?〕 【註 地上天国第四十号】
第三次戦争は果して有る?
(地上天国四十号)
標題に就いての質問はよく受けると共に、今日世界人類の誰もが、これ程痛切に知りたいと思う問題はないであろう。事実見ようによっては有りそうでもあり、無さそうでもあり、これ程の大問題であり乍ら、迷わざるを得ない有様である。というのは、全く唯物的に考えるからで、これも現代人としては無理はないが、私は宗教家として霊的の面から判断を下してみようと思うのである。
私は常に「旧文明世界は近き将来終りを告げ、代って新文明世界が生まれる」という事を唱えているが、勿論これは神定のプログラムであるから、信ずるより外はない。という意味で、第三次戦争もプログラムの中での最も大きな節であると思えばいいのである。併し、これは私が今日改めて言うのではない。已に二千年前キリストは世の終りが来ると言い、天国は近づけりとも言っている。然もキリストの再臨まで予言されたばかりか、又ユダヤ教の聖典にも、将来メシヤが降臨し、世界を救われるという予言もあるので、若しこれ等を信ずるとしたら、当然来るべきものが来るわけである。今私はそれを具体的に書いてみるが、前記の如き新世界というのは、悪に充ちた醜汚の世界が崩壊し、反対に善に充ちた清麗な世界が生まれるのである。その為どうしても、何千年来溜りに溜った処の、人間の犯した罪穢の汚れを浄めなければならないのは当然である。罪穢とは、勿論凡ゆる醜塊物であって、その大掃除が近づいたのである。
ではこれがどういう方法によって行われるかと言うと、それは、旧文明時代に造られ現存しているものの中から、汚穢の為使い道にならないもの悉くが破壊され、焼尽されると共に、誤れる学問も思想も宗教も、役済みとなったもの、将来性のないものは悉く潰滅の止むなきに至るのであって、この最も重要な役目として生まれたのが彼の原子爆弾である。これこそ右のごとき迅速な破壊行動に役立つものは外にあるまい。その素晴しい威力を見ても分る。
以上によって、第三次戦争は必ずあると共に、世界的大破壊は最早免れ得ない当然な運命であろう。何よりも現在米国もソ連もあらん限りの力を尽して、原爆の多量生産に夢中になっているではないか。これこそ右の予想を物語っている何よりの証拠である。
ただここで誰も知りたいのはその時であろうが、それも私には分っているが、まだ発表する時期になっていないから、今少し待たれたいが、しかしこれだけは言える。それは今私が記いている文明の創造の著書が完成し、世界中に配られ、暫くしてから最後の審判が始まる事である。
ここで今一つの肝腎な事がある。それは単に大破壊といっても物質のみではなく、汚穢に充ちた人間も清算される。これが最も恐ろしいのである。従って神は滅ぶべき運命にある人々を、一人でも多く救わんがための警告が文明の創造書であるから、これこそ二十世紀のバイブルでなくて何であろう。もちろんこのバイブルこそ、天の父であるエホバの聖書であるから真理そのものである。以上が信じ得らるるとしたら、第三次戦争に対しての心構えも、自ら見当がつくはずである。それから黴菌人間が今如何に多いかという事ですが、それを一寸書いてみたのです。
御論文「悪の世の中」 【註 栄光一七四号】
悪の世の中
(栄光一七四号)
現在世界のどの民族もそうだが、戦争と病気の不安、思想問題、経済難等、何や彼やで苦しみ抜いているのは、誰も知る通りであるが、玆では先ず日本の一々に就いて書いてみよう。その中での大きな悩みである経済難から書いてみるが、政府は固より、民間に於ての経済的行詰りは事新しく言う迄もないが、この原因に就いては殆んど誰も気が附かない処にある。それは言わずと知れた悪の影響である。
先ず政府事業であるが、これは官吏の悪の観念が大いに災いしている。若し官吏諸君が出来るだけ悪を避けるとしたらどうであろう。一切の支出は国民の血と汗で納めた税金である事を考えるから、無駄な金など費う気になれないし、又執務時間の浪費も慎しむから大いに能率も上り、役人の数も今日の半分位で充分間に合うだろう。然も誠意を以て事に当る以上、万事スムーズにゆき、国民の気受もよく、今日のように役人を恐れたり、軽蔑したりするような風潮はなくなるであろうし、親しみ深く、尊敬も受けるようになるのは勿論である。
その上御馳走等の暗い面などもなくなるから、汚職問題なども起らず、安心して任せられる。としたら、調査監督の必要もなく、裁判問題も起らないから、国家経済上どの位プラスになるか分らない程であろう。又個人的にも、御馳走酒の飲過ぎや、無意味な不衛生もないから、健康も増し、生活も豊かに、家庭円満となるのは勿論である。その他政府事業に附物の裏面運動もなくなるから、総てが非常に安価となり、この点の利益も予想外なものがあろう。以上並べた事だけでも実現が出来たとしたら、政府の予算は今の半分でも余る位で、税金も大減額となるから、国民はどんなに喜ぶかしれない。
次に民間の事業会社にしてもそうである。従業員全部が悪の精神から脱却出来れば、どうなるであろう。何事も誠意を以て仕事に当る以上、対外的にはコンミッションや御馳走政略、運動費等の支出もなく、駆引や誤魔化し等も極く稀になろうし、取引は円滑となり、余計な暇もかからず、気持よく商売が出来ると共に、生産も増すから、コストも低くなるので大いに捌け、殊に輸出方面は世界無敵となるであろう。然も最も喜ぶべきは今日の如き労使の軋轢は影を没し、円満協調、和気藹々として、楽しみ乍ら生産に当る以上、能率は素晴しくよくなり、その結果収入も大いに増し、生活の心配など消し飛んでしまうだろう。そのような社会となったら、金庫番も要らず、帳簿にしても、今のように二重三重などの面倒もなくなるし、五人も六人もの税務官史と、毎日のように、不快な交渉の必要もなく、一人か二人で二、三時間話合えば事済みとなろうから、双方の利益も大きなものであろう。
そんなわけで万事能率がよくなり、勤務時間も今より半分位で済むばかりか、儲けも多いから、慰安設備なども充分に出来、生活の楽しみは今とは比べものにならないであろう。又重役や幹部にしても、社員の面従腹背などの不愉快は消えてしまうから、気持よく明朗となり、事業の繁栄は請合である。
次に政治の面を見てみると、これは又如何に巧妙な悪が行われているかは、誰も知る通りで、心から国家本位、人民本位など考えている役人も党員も、寥々たるものであろう。成程国家人民の利益も考えない事もあるまいが、利己的観念が強く、何事も自己本位、自党本位であるのは事実がよく示している。そうして反対党の意見となると、是が非でも必ず反対する。全く反対せんが為の反対で、その見苦しさは御話にならないが、今日は当然のようになっている。又議場での反対党に対する弥次、暴言、喧燥等も浅ましいばかりか、果ては腕力沙汰に迄の醜態で、丸でナラズ者の喧嘩を見るようである。
処で総選挙も一カ月後に決定したが、これに就いても聊か書いてみよう。今日迄大部分の議員は、公明選挙ではなく、金銭や情実の為が殆んどであろうから、前記のような逆選良が多いのである。従って民主日本となった今度こそ、恥ずかしからぬ人物を出したいものである。尤も、今度は公明選挙などと言って、大分自覚したようだから、今迄よりはよくなるであろうと思う。政治面はこの位にしておいて、次は一般社会を見てみよう。
知っての通り、何処も彼処も悪ならざるはなしの現状で、どこの家庭を覗いても大抵は、夫婦は固より、親子兄弟の争い、朋輩同志のいがみ合いなどお定りで、円満な家庭は洵に少ない現状である。その他親戚知人などとの仲違い、裁判沙汰等もよく聞く話であるが、近来流行の親身の殺傷沙汰に至っては、情ないのを通り越して、恐ろしい気がする。その他空巣、掻払、強窃盗、詐欺、横領、万引、掏摸、タカリなども毎日の新聞を賑わしている。ザッと書いただけでこの位であるから、世の中の悪ときたら底なしの泥沼のようなものであろう。要するに今の世の中は、お釈迦さんの唱えた通りの苦の娑婆には違いないが、その苦を生む因は悉く悪であるから、現代は悪による被害者ばかりの社会と言っても過言ではなかろう。全く一日と雖も安心して生活出来る人は、万人に一人もあるまい。その中で、不安の一番大きなものは、何といっても病気である。いくら泥棒が怖いと言っても、戸締さえ厳重にすれば先ず防げるし、貧乏も健康で働きさえすれば解決出来るし、処世上充分注意をしていれば、裁判沙汰なども先ず起さずに済むが、只病気と戦争だけは今の処絶対不可抗力である。併しこれも深く検討してみると、悪から発生したものである以上、帰する処一切の災いは悪が因である以上、これを除くのは宗教より外にない事は余りに明らかである。処が世の識者たる者、これが分っているのか分っていないのか、我等には判断がつき兼ねるが、どんなものであろう。
それから、よく麻薬中毒という事を言いますが、麻薬中毒と言うと他人事の様ですが、今日本人全部が麻薬中毒なのです。只早く効く麻薬と遅く効く麻薬との異いです。で、みんな麻薬と言っているのは、早く効く麻薬です。それから薬と言っているのは、遅く効く麻薬です。それに就いて書いてみたのです。
御論文「医学断片集 薬と名の付くものは全部麻薬なり」 【註 栄光一七四号】
薬と名の付くものは全部麻薬なり 医学断片集(21)
(栄光一七四号)
今日世人は麻薬というと、非常に恐ろしいもののように思っているが、実は薬と名の付くものは、全部麻薬である事の意味をかいてみるが、これは誰も知るごとく初め麻薬を用いるや、頭脳は明晰となり、爽快感が起るので、段々癖になってしまうので、これが中毒である。ところが実はあらゆる薬も同様であって、ただ麻薬と違うところは、麻薬は即座に効き目があるが、外の薬はそうはゆかないで、言わば長持がするただそれだけの異(ちが)いさである。風邪でも結核でも、胃病、心臓病、何でもかでも理屈は二つである。従って現代人のほとんどは、軽微な麻薬中毒に罹っているといってもいいくらいであるから、病気に罹り易いのである。
そうして面白い事には、近頃よくこういう話を聞く、それはアノ薬は以前は非常によく効いたが、この頃効かなくなって困ってしまうというのである。これは全く薬の中毒患者が増えたためであるが、それに気が付かないだけの事である。でなければまさか人の方が以前と異なる体になった訳ではあるまいから、全く医学の盲点を物語っているといってよかろう。
よくお医者さんなんかゞ「此薬は前は効いたが此頃は効かない」という事を言うのですが、あれはやっぱり麻薬中毒と同じで、麻薬も最初は三日に一本射てば良かったが、段々効かなくなって今度は二日に一本、一日に一本という様に詰ってます。あれと同じで、前は風邪の薬を飲んだり胃の薬を偶に飲めば済む位だが、段々頻繁にしなければ追附かない。よく喘息の注射なんか、起る度に射ったのが、それが終いにはだんだん詰って来て三日とあけず射つ様になる。それで始終射つという事になります。あれは麻薬の作用と同じ事です。麻薬は、終いには射たないと苦しいから、人の物を盗んでも射る様になります。喘息の注射はそれと同じです。少し注射しないで居ると息が詰まりそうになります。そうしてみると一切の薬は麻薬なのです。だから麻薬中毒を恐れるのなら他の薬も恐れなければならないが、只他の薬は麻薬の様に早くない。遅く効くから、中毒になり方が暇がかゝるから、それで気が附かない。実に人間の頭の悪さというのはお話になりません。それから結核の新薬なんかでも年中変ってます。今はヒドラジットなんかと言っているが、此次は又何か出て来ます。それに気が附かない間はいくらでも薬が出て来ます。然し其内にこっちの説を世界中が信じる様になります。それ迄の間はドンドン新しい薬が出ます。それで新しい薬というのは、麻薬なら麻薬の効きが良くなるのです。だからそれが分れば恐ろしい話なのです。薬の中毒を患者に言う場合に、麻薬を例にとって言うと分り易いと思います。一番良いと思います。ストレプトマイシンと言う麻薬なのです。ヒドラジットと言う麻薬なのです。斯ういう風に言うと分り易いです。段々薬の種類が増えると――増えるという事は之も可笑しい話で、よく胃なら胃の薬を飲んでいると、もうそれが効かなくなる。すると、薬を替えると一時効くという事を言いますが、あれが――一つ薬を飲んで効かなくなるという事は中毒になっているのです。中毒というのは身体にそれに対する抵抗力が出来るので効かなくなる。人間の身体というのは、丁度食物や何かで毒のある物を食べていると、段々毒に中らなくなるが、あれと同じ事で、一つ事をやっているとそれに中毒をして了う。だから替えなければならない事になる。之は農業の方の連作と同じです。つまり肥料中毒にかゝっているから、そこで畑なら畑を替えると、一時良くなるという意味と同じ事です。そういう点を考えると、薬毒というのは良く分るのです。
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