＜朝熊岳金剛證寺（あさまだけこんごうしょうじ）＞

（〒516-0021　三重県伊勢市朝熊町548）

WEBサイト<https://www.iseshimaskyline.com/kongoushouji/>

　朝熊岳金剛證寺（あさまだけこんごうしょうじ）は、伊勢神宮の鬼門を守る寺として、神宮の奥之院ともいわれる。

　伊勢音頭の俗謡にも「お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り」と唄われ、伊勢神宮へお参りする人々はこのお寺にも参詣するのが習わしだった。

　当山の草創は古く、欽明天皇の頃、暁台上人によって開かれた。創建年代：539～571。

　天長二年(825)、空海が、真言密教の根本道場を建て、本尊に福威知満虚空蔵菩薩を祀り、勝峰山兜率院金剛證寺と称した。空海は当山において、虚空蔵求聞持法を修したと伝えられ、密教修業の一大道場として隆盛を極めた。

　その後、無住の時代が続き、応永年間（1394～1427）に、鎌倉建長寺開山大覚禅師の法孫である仏地禅師（東岳文昱）が、法燈の衰微を嘆いて入山し、寺の再興に努めた。仏地禅師は中興の祖と仰がれ、真言宗から臨済宗に改宗されて、臨済宗南禅寺派の寺となった。現在は、臨済宗南禅寺派の特例地。

　慶長二年(1597)と慶長十三年(1609)にわたって火災にあうが、徳川家康が慶長14年(1610)、姫路城主池田輝政に命じて本堂摩尼殿を再興。その後、文化元年(1804)と明治二十年(1887)にも、火災で多くの堂宇を失った。現存する建物は、江戸時代の摩尼殿、法務寮、求聞持堂、雨宝堂、望海院、与楽院、呑海院、孝源院等。本堂は国指定有形文化財。

　御本尊の「福威智満虚空蔵大菩薩（ふくいちまんこくうぞうだいぼさつ）」は、日本三大虚空蔵菩薩の第一位として、広大無辺な福徳・威徳・智徳の三徳を有する秘仏。20年に一度、神宮式年遷宮の翌年にご開帳される。

　ご利益は、広大無辺な三徳を持ち、信者に多くのご利益をもたらすとされている。「福徳」幸運や繁栄をもたらし、家庭やビジネスの安定を助ける。「威徳」人々に尊敬される存在となるよう導き、社会的な地位や名声を高める効果がある。「智徳」知恵や学問の向上を促し、特に学業成就や受験合格を願う人々に支持されている。

　金剛證寺は、神仏習合の思想を表し、天照大神も祀られている。

入口の総門

仁王門に向かう石段

　石段に向かって右に、金佛（阿弥陀佛）。左は旧参道で、進むと「おちんこ地蔵」がある。おんこちの地蔵の反対側には、赤い鳥居があり、鳥居の先は地主神の朝熊稲荷大明神。

　仁王門に戻って石段を上がると、二体の仁王像。

　仁王門をくぐると、左に大きな楼鐘堂。

　仁王門の後ろ側は、左が天照大御神の化現といわれる雨宝童子、右が虚空蔵菩薩を神格化したといわれる明星天子。明星天子は龍に載っている。

　参道を進むと、右手に連間（つれのま）の池。金剛證寺を再興した弘法大師が造った池とも言われている。赤い「連珠（れんじゅ）橋」は、橋の中央が、此岸と彼岸の境界になっているとか。橋の先にあるのは、雨宝童子像を祀る雨宝堂。

　参道の正面は、徳川五代将軍綱吉公の母、桂昌院が寄進された矢負地蔵尊と、庚申堂。お堂の前は厄除け六地蔵尊（重軽地蔵尊）。持ち上げて祈念した後に、もう一度持ち上げって軽く感じたら、願いが叶うと言われる。

　右斜めの参道から石段の上が、本堂の摩尼殿。伊勢神宮の奥の院とも言われる本堂は、慶長14年（1609年、）姫路の城主池田輝政公の寄進によって再建された。七間六間、一重寄棟造り、向拝三間、檜皮葺の堂々たる巨宇で桃山時代の精華をつくした建物。外部は朱漆、内部は金箔押。御本尊の福威智満虚空蔵菩薩とともに、天照大神をお祀りし神仏習合の思想を表している。