霊層界

 霊界の構成(こうせい)は曩に述べた如く、天国、中有、地獄の三段階が三分されて九段階となっており、一段は又二十に分れ、一段階二・三ンが六十段となり、(さぶ)(ろく)・十八即ち総計百八十段となる。私は名づけて霊層界という。その上に宇宙の主宰者たる主神が()()すのである。主神の主の字は一二三本の横線を縦の棒一本を通し、上に(チョン)が載っている事は面白いと思う。そうして人間と霊の関係を詳しく説明してみるが、人間の肉体その儘の形体である精霊(せいれい)があり、その中心に心があり、心の中心に魂があるという工合に、大中小の三段否三重となっているが、その魂こそ神から与えられたるもので、これが良心そのものである。この魂の故郷即ち本籍地ともいうべき(こん)(げん)が、右の百八十段階の何れかに属しており、これを名附けて私は幽魂という。この幽魂と人間の現魂とは霊線によって(つな)がれており、絶えず人間の思想行動は幽魂に伝達され、夫が神に通じており、又神よりの命令は幽魂を経、霊線を通じて人間に伝達さるるのである。この例として人間が種々の企図(きと)計画(けいかく)をなし、目的を達成せんと努力するも、事志と違い思わぬ方向に赴いたり、意外な運命に突当ったりする場合、つくずく顧みる時何等か自分に対しみえざる支配者があって、自分を操っている様に思われる事を大抵の人は経験するであろう。即ちこの支配者なるものが右の幽魂から伝達さるる神の意志である。故に神意に反する場合何程努力すると雖も、努力すればする程逆効果になるものであるから、人間は常に自己の考えが神意に合致するや否やを深く省察しなければならない。併し乍らこの場合(わたし)(よく)邪念(じゃねん)があるとすれば、それは神意の伝達を妨害する事になるから、一時は良い様に見えても、終には必ず失敗するものである。この理によって何等かの計画を立てる場合、よくよく自己を省み、その目的が善であるか、社会人類に役立つべきものなるや否やを深く検討しなければならない。ここで面白い事は邪念の為神意に添わず、為に失敗苦境に陥る場合、その苦難によって邪念(じゃねん)の原因である罪穢が滅減(めつげん)する事になるから、その為魂が磨かれる結果となり、今度は神意と合致するようになり、成功する事になる。世間よく一度失敗しその後成功する例がよくある事や、特に失敗の度数の多い程大成功者となる例があるが、右の理に由るのである。

 以上の如くであるから、霊層界のより上段に霊魂の籍をおく事が幸運者たり得る唯一の方法である。元来霊魂の位置は一定してはいないもので常に昇降(しょうこう)している。何故かというと軽い程上方に昇り重い程下向するのであって、この軽重の原因は如何なる訳かというと、人間の行為の善悪に因るもので、善事を行い徳行を重ねれば罪穢が減少するから軽くなり、悪事を行い罪を重ねれば罪穢が増すから重くなるという訳で、昔から罪の重荷とはよく言ったものである。故に善悪の心言行そのままが、霊線によって神へ直通するのであるから、この理を知ったならどうしても善徳者にならざるを得ないのである。

 前述の如く人間は神の命によって、運命(うんめい)はおろか生死までも決定するのであるから、人間の生命の命の字は命令の命の字である。故に死とは神よりの命令解除である。それは世の中に害毒を与えたり生存の価値(かち)なき為であるから、人間は命令を解除されぬよう神に愛され社会有用なる人間にならなければ、長寿と幸福は得られる筈がないのである。

 霊層界の上位へ行く程病貧争の如き苦はなく、溌剌(はつらつ)たる健康と、豊であり善美である衣食住を与えられ、歓喜の生活を営まれるから、そこにいる幽魂の幸福は、霊線によって現界の人間に直通し幸福になるのである。その反対に霊層界の下位にある幽魂は、霊線によってその人間に反映し、常に地獄的生活に喘ぎつつ一生不幸に(おわ)るのである。

 世間よく家相方位などに関心を持つ者があるが、霊層界の上位にある者は、移転(いてん)や建築等をなす場合自然、良方位、良家相に移住する事になり、反対に霊層界の下位にある者は如何に努力すると雖も、悪方位、悪家相に移住する事になるのである。又結婚の場合、良縁も悪縁も右と同様の理によるのであって、これは霊体一致の原則による以上、この絶対力は如何なる人間と雖も抗する事は不可能である。

 ここで宿命と運命に就いて一言するが、宿命とは生まれ乍らに決定せるもので、それは霊層界の上中下三段の何れかの一段の圏内(けんない)に限定され、それ以外に出ずる事は不可能であるが、運命は右の宿命圏内の最上位に行くも努力次第であるから、宿命の不変であるに対し、運命は或程度の自由を得られるのである。

 従って人間は常に善徳を積み、罪穢を軽減し霊層界のより上位に吾が幽魂を住せしむべきで、それによる以外幸福者たり得る道は決してない事を知るべきである。

(霊界叢談 七三頁)

 

 

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