智能犯インフレ

 近頃の新聞を賑(にぎ)わしている社会記事の大半は、智能犯に関する事件である。何々公団不(ふ)正(せい)容(よう)疑(ぎ)、何々団横領(おうりょう)容疑、何々課長の逮(たい)捕(ほ)等々、後から後から問題が発生する。こんな事は今迄に例をみない処であろう。勿論どれもこれも智能犯で、然も官憲(かんけん)の上層部は固(もと)より、銀行会社の枢要(すうよう)役目の者の多い事である。特に不思議と思うのは、二十代三十代の青年、中年の人物が中心となって活躍(かつやく)し、大規模な計画の下に偉(えら)方(かた)を踊らした事実である。

 要するに、これ等事件の動(どう)機(き)は巧(こう)妙(みょう)に法規を潜(くぐ)り、人の眼を誤魔化(ごまか)し、一挙に多額の金銭を獲得し、贅沢(ぜいたく)三昧(ざんまい)に耽(ふけ)ると共に、泡(あわ)よくば経済界一方(いっぽう)の旗(はた)頭(がしら)とでもなろうという野心さえ窺(うかが)われるのである。我等が何時も言う如く、唯物主観的見(けん)地(ち)から〝見えざるものは信ずべからず〟という人達である事は勿論である。成(なる)程(ほど)、これ等智能犯罪を取締(とりしま)る警察、検察庁、法務庁等の機関もあり、充分(じゅうぶん)取締ってはおるが、我等宗教人としての考えは精神的方面の機関も必要と思うのである。それによって物質的取締の欠陥(けっかん)を補う事になるからである。言うまでもなくそれが宗教の役割であって、我等の言を俟(ま)たずとも心ある者はそう思っている筈である。言う迄もなく見えざるもの即ち神の存在を信じさせる事である。

 以上によって見る時、今日の悪世相は、全く現代人が神の存在を信ぜず、唯物教育のみを詰込(つめこ)まれた結果、知識のみ発達し、人の眼を巧妙に誤魔化(ごまか)してしまえば、仮令(たとえ)罪を犯しても差支(さしつか)えない。それが利(り)巧(こう)者(もの)であると信じ切っている為で、現在の如き智能犯続出という社会現象となったのであろう。

 この理によって、法規その他の唯物手段によって極力(きょくりょく)犯罪防止の手段を講(こう)ずる半面、宗教教育によって犯罪の根源(こんげん)を絶つという、この両建(りょうだて)方針による以外、根本的解決はない事を信ずるのである。

(救世 六四号)

 

 

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