自分の悪に勝て – The Providence of The Light of The East

　私は、この前悪に勝つという論文を書いたが、これは悪人に負けてはならないという意味であったが今度は他(た)人(にん)事(ごと)ではなく、御(ご)自分の肚(はら)の中にいる悪に勝たなくてはならないという事を書いてみる。およそ如何(いか)なる人間でも、肚の中ではいつも善と悪と戦(たたか)っている。つまり仏教でいう煩悩(ぼんのう)を抑えつけようとする戦(たたか)いである。何しろ人間の欲にはキリがないから〝やれ金が欲しい、女が欲しい、勢力を得たい、名誉が欲しい、我儘(わがまま)がしたい〟というような悪の奴(やつ)が始終頭を持ち上げようとするので、其奴(そやつ)を押えつけようとする。〝そんな事をしてはいけない、気を付けろ、若(も)しやったら酷い目に遭(あ)わせてやるぞ〟と言って善玉が押えつける。又(また)善玉は〝人を喜ばせろ、他人様がみんな幸福になるようにしろ〟と言って、どこまでも善悪が戦って闘(たたか)って戦いぬいているのが万物の霊長様のあるがままの姿だ。

　このような訳であるから、悪が勝てば罪を犯(おか)し不幸を生み、善が勝てば幸福を生むのは、将(まさ)に判然(はんぜん)としているんだから訳はないようだが、人間はそれが分っていて実行が出来ない。特に無信仰者程そうである。そこへゆくと信者はよく知っているから、悪に負ける事は極めて少い。とは言うものの、実は容易の業(わざ)ではない。勿論悪をさせるのは副守護神であり、善をさせるのは正守護神であるが、それ以上絶対善の命令者が本守護神であるから、結局本守護神の威力を増すようにする事で、これが根本的悪を征服(せいふく)する力である。だから人間はこの力を育てるように常に心掛けるべきで、その唯一の方法が神様を拝み、信仰を徹底させる事である。これ以外幸福者となる方法はないのである。